欧州委員会、StarbucksとFiatの税優遇を違法と認定、追加徴税を指示

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欧州委員会は10月21日、Starbucksがオランダ政府から、Fiat Finance and Tradeがルクセンブルグ政府から、それぞれEUでは違法となる優遇税制を受けていたと判断した。


調査は2014年に始まった。

欧州委員会は2014年6月11日、Apple、Starbucks、Fiat Finance and Trade 3社の法人税に関して、それぞれアイルランド、オランダ、ルクセンブルクの各国税務当局が下した判断について、本格的な調査を開始したことを明らかにした。

2014/6/13 欧州委員会、Apple等の法人税を調査

今回、2件について最終判断を下した。

税務当局のTax ruling (税務裁定) そのものは合法であるが、これらについては、一部の企業だけを支援して公正な競争を妨げる違法な「国家補助」とみなした。

その上で、オランダ政府とルクセンブルク政府にStarbucksとFiat から本来の税金との差額を追徴するよう命じた。その額は1社につき20~30百万ユーロ(約27〜40億円)になる。

今後は同じ税務裁定によって与えられた優遇措置を継続適用できないことも定めた。

欧州委で競争政策を担当するMargrethe Vestager委員は記者会見で「今回の決定は各国の税務当局に対し、いかなる企業にも競争を損ねる優遇措置を与えてはならないという明確なメッセージを送っている」と強調した。

Starbucks は発表を受け、「今回の決定には重大な誤りがある」との声明を公表した。
オランダ当局も「Starbucksに適用した手法は国際的にも認められている」と反論した。ルクセンブルク当局も「欧州委の結論には同意できない」と反対意見を表明した。

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Starbucksは、
 Starbucksのスイス子会社からコーヒー豆を仕入れ、
 英国子会社から商標と焙煎方法等のライセンスを受けて焙煎し、
 欧州各国の販売店に製品を販売している。

1)Starbucks ManufacturingのAlki へのロイヤリティ支払は違法

同じノウハウを使用する他のグループ各社も独立した焙煎業者も、どこもロイヤリティを払っていない。
Starbucks Manufacturingはこれにより利益をAlkiに移転している。Alkiは英国でもオランダでも法人税を払う義務がない。

2)スイスからの豆の買値は異常に高い。これによりStarbucks Manufacturingの焙煎事業での利益はAlkiへの支払ロイヤリティより少ない。
  結果として、Starbucks Manufacturingの他の事業(紅茶、ケーキ等)の利益をAlkiに移している。

2014/11/27 欧州委員会、オランダのStarbucks への税優遇の内容を公表 

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Fiat Finance and Tradeは他のグループ企業にローンを行っている。

EUでは、ルクセンブルグ当局が2012年に出したTax ruling が同社のみに恩典を与えるもので、2012年以降、20~30百万ユーロの税金を違法に減らしたとみなした。

課税のベースとなる使用資本を経済的に説明できない想定をもとに一般の銀行などと比べて異常に低い額に設定した上、収益率も下げた。
一般の場合に置き換えると、課税所得は20倍にもなる。

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欧州委員会は今回の2社に加え、アイルランドによる米 Apple、ルクセンブルクによる米 Amazonへの税優遇などでも正式調査を進めている。

2014年10月に欧州委員会はルクセンブルグのAmazon への優遇策について正式に調査を始めたと発表した。

2014/6/13 欧州委員会、Apple等の法人税を調査 

欧州委員会は2015年1月16日公表の文書で、米 Amazon に対してルクセンブルクが適用した税優遇措置は国の補助金に該当し、合法性に疑問があるとの判断を示した。

G20は10月8日、ペルーの首都リマで財務相・中央銀行総裁会議を開き、タックスヘイブン(租税回避地)などを使った多国籍企業の税逃れを防ぐ新たなルールを採択した。

参考 OECD発表 

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