中国共産党の中央委員会第5回全体会議は10月29日、4日間の日程を終えた。
主な議題は、次期人事のほか、①「一人っ子政策」の廃止、②経済政策(13次5ヶ年計画 )などであった。
① 「一人っ子政策」の廃止
中国は人口の増加を抑制するため、1979年から「一人っ子政策」を採用、少数民族などを除いて、夫婦がもうけることのできる子どもの数は原則として1人しか認めず、違反した場合には罰金を課してきた。 人権の侵害が指摘され、戸籍外の子どもが増えるなどの問題も生んだ。
中国では一人っ子政策の影響などから、世界的にも例のない速度で少子高齢化を引き起こしている。
15歳から59歳までの人口は2012年から減少に転じている一方、65歳以上の高齢者は増え続けていて、経済成長への影響を懸念する声が出ている。
中国の人口は2028年に14億人超でピークに達した後、減少に転じると予想されている。
2012年に減少に転じた労働力人口は、2020年代に至ると年間790万人のペースで急減していくと見込まれる。
農村などで男子を選んで産む風習も根強いため、2020年には、24~28歳の男性が22~26歳の女性を1千万人上回るとの研究もあり、性別のバランスを欠く人口が社会不安を引き起こす恐れもある。
このため、2013年には「夫婦のどちらかが一人っ子ならば2人目を認める」と緩和に踏み切ったが、新制度の利用率は低迷し、わずか2年でさらなる変更を迫られた。
今回、30年以上にわたって実施されてきた「一人っ子政策」を改め、すべての夫婦に対して2人の子どもをもうけることを認める。
しかし、計画出産そのものについては「基本国策として堅持する」として、2人までの制限を残す。
閉幕後公表されたコミュニケは、「人口の均衡ある発展を促進するため、計画出産の基本国策は堅持する。しかし人口発展戦略をより完全なものにするため、1組の夫婦が2人の子供を産める政策を全面実施し、積極的に高齢化に対する行動を展開していく」としている。
国家衛生計画出産委員会は、「労働力の供給を増やし、高齢化の圧力を軽減する。さらに持続的な経済発展にも役立ち、家庭の幸福や社会の調和を促進する」と説明している。
参考
政策で人口を操作すると、その影響はずっと続く。 第一は戦前(1920~40年前半)の「産めよ増やせよ」政策で、出生数が急増している。 第二は1948年の優生保護法である。 この結果、次の世代、その次の世代の出生数が激減することとなった。
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②経済政策(13次5ヶ年計画 )
それによると、「第13次五カ年計画」は中国の経済発展が新常態(New Normal) に移行した後の初の五カ年計画で、新常態に適応し、新常態を把握し、新常態を牽引する役割が求められる。
新常態下では、中国の経済発展は速度の変化、構造の最適化、原動力の転換という3つの大きな特徴を備える。
・成長速度は、高速から中高速へと転換し、発展の方式は規模・速度型から質・効率型へと転換する。
・ 経済構造調整は、増量・能力拡大を主とするものから、ストック調整・最適化と増量が併存するものへと転換する。
・発展の原動力を、主に資源と安価な労働力といった要素への依存から、イノベーション駆動へと転換しなければならない。
2016年から2020年にかけての年間経済成長率を6.5%以上とする。
(数値目標などを盛った詳細な計画は、来年3月の全国人民代表大会で正式に決定する。)
2020年までに国内総生産(GDP)と都市・農村住民の1人当たり国民所得を10年比で倍増させるという目標を実現させるために必要な成長速度である 。
2010年の都市住民の1人当たり可処分所得は19109元、農村住民の1人当たり可処分所得は 5919元であり、2020年までに倍増を実現するためには、年間経済成長率は少なくとも6.5%を達成しなければならない 。
過剰生産能力の改善、産業構造のグレードアップ、イノベーション駆動発展の実現といった点で一定の時間と余地が必要になり、経済の下方圧力は顕著となり、やや高い経済成長を維持するには多くの困難を要する。
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