中国外務省は11月6日、「中国は欧州復興開発銀行(European Bank for Reconstruction and Development:EBRD)に加盟の意向を示した」と述べた。
加盟の理由として、「中国の一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀の海のシルクロード)構想と欧州投資計画との連係を後押しし、中国とEBRDの協力関係を深めるためだ」と説明、「中国のEBRD加盟は各方面の利益に合致し、双方に利益をもたらす選択になる」とその意義を強調した。
中国が主導し年内に運営を始めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、英国やドイツ、フランスなど欧州各国が相次いで参加した。EBRDとの間でも、協調融資を含む協力関係を築く可能性が高い。
AIIBはすでに世界銀行、アジア開発銀行(ADB)との間で協調融資を実施する具体的な案件の検討に入っている。
習国家主席は10月に英国を訪問した際、英政府に対して中国のEBRDへの加盟を支持するよう要請している。中国から中央アジアを抜け、欧州に至る地域に巨大な経済圏をつくる一帯一路構想を進めており、EBRDに加盟することで、中央アジアや中東欧を舞台に欧州との連携を強めていく狙いがある。
EBRDは12月にも中国の加盟を認めるかどうかを判断する。
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欧州復興開発銀行(EBRD) は、ハンガリーやポーランド等の中東欧諸国における市場指向型経済への移行並びに民間及び企業家の自発的活動を支援するため、1991年3月に設立された。
現在の支援対象国は、中東欧の旧社会主義国及び旧ソ連構成国を中心とする35カ国で、市場経済化・民営化を進めるための民間部門に対する投融資及び技術支援等を中心に業務を行っている。
中東欧諸国の市場経済化の進展に伴い、市場指向型経済への移行が遅れている中央アジアやコーカス地域等の初期段階移行国(キルギス、モンゴル、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、グルジア、モルドバ)に対する支援活動を中長期的に拡大していくこととしている。
さらに、2010年末に中東・北アフリカ地域で発生した民主化運動(アラブの春)を受け、2012年8月に支援対象地域を南・東地中海地域(Southern and Eastern Mediterranean)へ拡大することを決定し、これまでにエジプト、チュニジア、モロッコ、ヨルダンが支援対象に加わっている。
一方で、中東欧諸国のうち、2004年にEUへ加盟した8カ国(チェコ、ポーランド、ハンガリー、スロバキア、スロベニア、エストニア、ラトビア、リトアニア)については、市場経済化が進展したとして、支援からの早期の卒業が期待されており、チェコは2007年12月に卒業した。
欧州諸国とEU、欧州投資銀行のほか、日・韓・米・加・豪・NZ・イスラエル・メキシコ・モロッコ・トルコが資金拠出加盟国となっている。
日本は設立当初からの加盟国であり、英独仏伊と並び、米国に次ぐ第2位の出資国となっている。
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