ジェネリック医薬品大手のMylan、アイルランド製薬大手Perrigo のTOBに失敗

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ジェネリック医薬品大手のMylan N.V. はアイルランド製薬大手 Perrigo Company plc に買収を提案し、拒否されて、敵対的TOBを行っていたが、11月13日の締め切り時に全体の約40%しか応募がなかったため、TOBは成立せず、元の株主に返却された。

Mylan は4月8日、アイルランド製薬大手のPerrigo に買収を提案したと発表した。

4月6日にPerrigoに対し現金と株式交換で1株当たり205ドルでの買収を示した。
提案前の終値を25%上回るもので、買収総額は300億ドル近くにのぼる見通し。

欧米で大衆薬や健康食品を手掛けるPerrigoの買収を通じて後発薬以外にも事業を多角化し、顧客基盤を広げる考え。

Mylanでは、ユニークで比類のない多角化したグローバルな医薬業界のリーダーになるとし、「両社の組み合わせは短期的にも、また長期的にも価値の創造につながる」と述べ た。大衆薬、健康食品を商品群に加え、世界の主要市場で事業基盤を拡大するとしている。

Perrigo は提案を「検討する」と発表した。両社の2014年ベースの合計売上高はおよそ153億ドルに達する。

2015/4/16 ジェネリック医薬品大手のMylan、アイルランド製薬大手に買収提案

その後、4月21日にPerrigoは同社の取締役会が満場一致でMylanの買収提案を拒否したと発表した。
Mylan の提案はPerrigoの価値とその将来の成長見通しを「著しく過小評価」しているとしている。

Mylanは敵対的買収に踏み切った。

先ず、4月29日に買収価格を引き上げた。

現金 75ドルと2.3株のMylan株としたもので、時価ベースで232.23ドルとなる。(従来は 205ドル)

6月にMylanの最大の株主でMylan株 14.5%をもつAbbott Laboratoriesが買収に賛成する発表を行った。

Mylanは当初、TOBをPerrigoの「全株式の80%以上」としていたが、8月13日に「50%以上」に引き下げた。

9月14日に Perrigoの全株を対象とするTOBを開始した。TOBに応じるPerrigo株主は、1株当たり、現金75ドルとMylanの 2.3株を受け取る。
全株式の50%以上の応募でTOBは成立する。

Mylanは並行してEUと米国の独禁当局に買収の承認を求めていたが、6月29日にEUから承認を受けた。11月3日には米国FTCから、特定の製品の分離を条件に承認を受けた。

しかし、TOBに応じた株主は40%に止まり、TOBは失敗した。

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Perrigoの取締役会が満場一致でMylanの買収提案を拒否したと発表した4月21日、イスラエルの後発医薬品メーカーのTeva PharmaceuticalsはMylanに対し現金と株式による400億ドルでの買収提案を行ったことを明らかにした。Mylanの全株式を1株当たり82ドルで、半分を現金、半分をTeva の株式で買収するもの。

Mylanは4月27日、Tevaの買収案を拒否した。Mylanの企業価値を「大幅に過小評価している」としている。
Mylanの会長はTevaに宛てた書簡で、「1株当たりの価格が100ドルを大幅に上回る」という「出発点」でなければ、協議を行うことは検討しないと言明した。

2015/4/24 イスラエルのTeva Pharmaceuticals、同業のMylanに買収提案 

Teva Pharmaceutical Industriesは7月27日、米医薬大手Allergan plc から後発薬事業を買収することで最終合意したと発表した。
TevaはAllergan の 後発薬事業買収で、Mylanに仕掛けていた買収提案は撤回した。

2015/7/29 後発薬最大手のTeva、米 医薬大手の Allerganから後発薬事業買収



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