公正取引委員会が、納入業者に不公正な取引を強いるなど独禁法に違反する行為の改善を企業が約束した場合、調査を終了し、課徴金などの処分を見送る新たな制度(コミットメント制度)の導入を検討していることが分かった。
EUでは導入されており、TPPで同様の制度導入が義務付けされたことを受けた対応で、違法状態を迅速に解消し、企業活動の停滞を防ぐことなどが狙い。
TPPでは競争当局と企業の合意により自主的に問題解決できる仕組みの導入を義務付けた。
現状では、企業は公取委からの一方的な命令や課徴金を受け入れるか、不服として法廷で争うかの大きく2つの選択肢しかなかった。
コミットメント制度では、企業が独禁法に違反した疑いがある場合、公取委が法的な問題点を指摘する。
企業が解決策を公取委に提示し、公取委が妥当と判断し、企業が解決策の実行を約束すれば、公取委は本格的な調査に入らず違反認定もしない。
EUでは、対象となるのは、納入業者に圧力をかけ取引を妨害するなどの行為が対象で、制裁金の対象となる談合やカルテルは対象外になっており、日本でも同様と思われる。
公取委は早ければ来年の通常国会に独禁法の改正案を提出する。
EUでは、従前の実務慣行を明文化し、規則1/2003第9条で「コミットメント決定 (commitment decisions)」の制度が導入された。
違反行為の審査の過程で生じた懸念について、対象事業者が当該懸念を解消するための措置を講じる旨を申し出た場合に、EU委員会はこれを受諾することができ、手続を継続する根拠が失われた旨を宣言する。
対象事業者及びEU委員会の双方において、手続の負担を軽減させるメリットがあるとされている。
対象事業者が約束を守らなかった場合など一定の場合、EU委員会は手続を再開することができる。約束を破った企業に前年度売上高の最大1割の課徴金を支払わせている。
コミットメント決定は、カルテルなど制裁金を課すことが適当な事案においては利用できない。(規則1/2003 recital(13))。
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