塩野義製薬、インフルエンザ新薬を開発、1回投与で治療

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塩野義製薬は10月30日の投資家向けの経営説明会で、インフルエンザを1回の投与で治療できる新薬を 2018年にも発売する計画を公表した。

従来のインフルエンザ治療薬とは全く異なる仕組みの薬で、売上高が年間500億円以上の大型薬になるとみられ、抗エイズウイルス(HIV)薬や、複数の薬に耐性ができた菌の治療薬とともに事業の柱に育てる。

11月以降に数百人規模の患者を対象にした第2段階の治験を行い、有効性などを確認し、最速で2017年度内の申請を目指す。


インフルエンザウイルスは、感染した細胞内で遺伝子を複製し、増殖・放出することで他の細胞に感染を拡大する。



現在、治療に用いられている抗ウイルス剤はノイラミニダーゼ阻害剤(Neuraminidase inhibitors)で、増殖されたウイルスの放出を阻害して感染の拡大を防ぐもの。

オセルタミビル(oseltamivir)  ロシュ 商品名 タミフル
ラニナミビル(Laninamivir) 第一三共 商品名 イナビル
ペラミビル (Peramivir)    米国 BioCryst Pharmaceuticals

発症後48時間以内に服用しなければ効果が得られず、タミフルの場合は5日間程度服用を続ける必要がある。

エボラ出血熱の治療に使われた富士フィルムのファビピラビル(favipiravir)(商品名アビガン)は元々インフルエンザ用治験薬で、ウイルスの細胞内での遺伝子複製を阻害することで増殖を防ぐRNAポリメラーゼ阻害剤である。

現時点では厳しい条件がついており、新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合に、患者への投与が検討される。

2014/8/11  富士フイルムのインフルエンザ治験薬、エボラ出血熱治療に有望か →効果確認

これに対し、塩野義が開発中の新薬(S-033188) は、ウイルスが細胞に進入後、最初の反応となるmRNA合成の開始を特異的に阻害するCapエンドヌクレアーゼ阻害剤である。ウイルスの増殖に必要なタンパク質が合成できなくなり、ウイルス粒子が形成されなくなる。

・ 高病原性鳥インフルエンザウイルスを含む各種 A型、B型ウイルスに強い活性を示す。
・ 一回の投与で治療完結を目指す。
・ Phase 1 試験で、安全性と動態プロファイルを確認
・ 厚労省の「先駆け審査指定制度」対象として指定 

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先駆け審査指定制度は、2014年6月に厚労省が取りまとめた「先駆けパッケージ戦略」の重点施策や、「日本再興戦略」改訂2014を踏まえて導入したもの。

患者に世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指し、一定の要件を満たす画期的な新薬等について、開発の比較的早期の段階から対象品目に指定し、薬事承認に係る相談・審査における優先的な取扱いの対象とするとともに、承認審査のスケジュールに沿って申請者における製造体制の整備や承認後円滑に医療現場に提供するための対応が十分になされることで、更なる迅速な実用化を図る。

原則として既承認薬と異なる作用機序により、生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して、極めて高い有効性が期待される医薬品を指定する。
審査期間をこれまでの半分の6ヶ月まで短縮することを目指す。

2015年度は試行的な取組みとして実施するが、厚労省は10月27日、6品目の医薬品を初めて指定した。

医薬品の名称 予定される効能または効果 申請者
シロリムス(NPC-12G) 結節性硬化症に伴う血管線維腫 ノーベルファーマ
NS-065/NCNP-01 デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD) 日本新薬
S-033188 A 型またはB型インフルエンザウイルス感染症 塩野義製薬
BCX7353 遺伝性血管浮腫(HAE)の患者を対 象とした血管性浮腫の発作の管理 Integrated Development Associates
ASP2215 初回再発または治療抵抗性のFLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病 アステラス製薬
ペムブロリズマブ
(遺伝子組換え)
治癒切除不能な進行・再発の胃癌 MSD

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