ハウス食品グループ本社は、"切っても涙が出ない、辛みのない全く新しいタマネギ" を 「スマイルボール」と名付け、数量限定・チャネル限定で10月末から発売した。
・販売価格は、約400g(中玉2個相当)で450円(税別)
・有機野菜などの食材宅配ネットスーパーを展開する「Oisix」、都内の一部の百貨店で販売。
「涙を流さなくなることで、全てのお客様が笑顔になる新しいタマネギでありたい。これまでのタマネギにとらわれず、新しい食べ方や食シーンをお客様と一緒に(キャッチボールをしながら)創造できるタマネギでありたい。 」という想いを込め、笑顔とボールを組み合わせて「スマイルボール」とした。
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2013年のIg Nobel 賞で、ハウス食品の今井真介研究主幹のグループが「タマネギの催涙成分をつくる酵素」の発見で「化学賞」を受賞した。発見に貢献した石川県立大の熊谷英彦学長が共同受賞者となった。
今井主幹が「これまでたまねぎに泣かされてきたすべての人々にこの賞を贈ります」とあいさつ、会場から喝采を浴びた。
タマネギを切ると涙が出てくる成分は、タマネギやニンニクの風味をつくる成分と同じ酵素でつくられると考えられてきた。
レトルトカレーの製造過程でニンニクとタマネギを一緒に炒めると、緑色に変色する現象が起きた。
その理由を解明中に、タマネギの催涙成分としてすでに知られている酵素とは別に、もう1種類の新たな催涙因子合成酵素を発見した。
2002年 催涙成分合成酵素(lachrymatory factor synthase)の発見。
催涙成分ができるには、アリイナーゼとLFS が必要なことを発表(Nature 掲載)。
この酵素と、たまねぎに多く含まれているアミノ酸を反応させると、涙を誘う「催涙物質」が作られ、目を刺激し、涙が自然と出てくる仕組みになっていることが分かった。
その後、この酵素の働きを止めることで、切っても涙が出ないタマネギを作ることに成功している。
催涙成分生成の仕組み(反応経路)がわかったことで、その反応が進まないタマネギが、「涙の出ないタマネギ」となると考え、研究は次のステップへ。
非遺伝子組み換え手法(重イオンビーム照射したタマネギの中から、催涙性の弱いものを選び育てる)によるタマネギの作出をスタート。
2012年 非遺伝子組み換え手法によって、アリイナーゼの働きが著しく低いタマネギ(今回のタマネギ)の作出に成功。
また、この酵素をドライアイの検査に応用する研究が進んでいる。
2013/9/16 2013年 Ig Nobel 賞、日本の2チームが受賞
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