米食品医薬品局(FDA)は11月19日、成長が早くなるよう遺伝子を組み換えたAtlantic Salmonを食用に養殖し販売することを認めたと発表した。
米マサチューセッツ州の新興企業 AquaBounty Technologiesが開発した「AquAdvantage Salmon」で、Atlantic Salmonの卵に、Chinook Salmon (キングサーモン or マスノスケ)の成長遺伝子とOcean Pout(ゲンゲ)というウナギに似た魚の"promoter"を組み合わせた遺伝子を導入した。
通常のAtlantic Salmonは成長ホルモンを1年のうち一定期間しか出さないが、Chinook Salmonの成長ホルモンが加わり、Ocean Poutの遺伝子がホルモンのスイッチを"on" にすることで、成長ホルモンを年中出し続ける。
通常は3年の養殖期間を半分に縮めた 。同じ1年半の時点での通常のサケとの比較は下記の通りで、エサの量を25%カットでき養殖の効率が上がるという。
米国では消費するAtlantic Salmonの95%以上を輸入している。
遺伝子を組み換えた動物が食品として認可されたのは初めて。
FDAは、同社から提出されたデータや情報を検討した結果、食品として通常のサケと成分が変わらず、安全性を確認できたと発表 した。
成長が速いという同社の主張も確認した上で、遺伝子を組み換えていないサケとの間に生物学的な違いはないと認定した。
このため遺伝子組み換えのラベル表示は義務付けられない。
養殖施設から誤まって逃げても、基本的に不妊になるため、自然界で繁殖する可能性は極めて少ない。
通常種との交配を避けるため、養殖はカナダとパナマにある2カ所の施設でのみ許可される。
AquaBounty では販売開始の時期は未定だが、複数の流通経路について検討している。、
一方、養殖業者や消費者などからは、遺伝子組み換えサケの承認に強く反対する声が上がっていた。
表示が義務付けられていないことに対しても「食品の製造方法について知る消費者の基本的権利がないがしろにされた」と訴えている。
一部では「FrankenFish」とも呼ばれている。
AquaBountyは1991年の設立で、Massachusetts州のMaynard とPrince Edward IslandのFortune に事務所を持つ。
遺伝子組替技術と陸上での閉鎖循環式養殖システム(recirculating aquaculture systems:RAS) の組み合わせがサケの養殖に最適との信念でやってきたという。
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