米General Electric 、厨房機器事業の売却を中止

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General Electric は12月7日、スウェーデンの家電大手 Electrolux AB への厨房機器事業の売却を中止すると発表した。
米司法省が、「調理コンロやオーブンなどでシェアが高い両社の事業が統合されると、価格が上がって米消費者に不利益が生じる」と主張し、反対したため、断念に追い込まれた。

両社は2014年9月8日、ElectroluxがGEの厨房機器事業を33億ドルで買収することで同意した。

GEは選択と集中を進め、戦略外の厨房機器事業などを売却し、ガスタービンや航空機エンジンなどに注力する。
他方、Electrolux は北米でのシェアアップを狙った。

米国紙によると、両社の事業を統合すると、昨年の米国市場でのシェアは約25%となる。
これに対し、トップ企業のWhirlpoolのシェアは約30%、LGが13%、Samsung Electronicsが11%とされる。

米司法省は2015年7月1日、この売却を禁止することを求める訴訟を提起した。

売却により、米国で販売される厨房機器の主要メーカー2社が統合され、競争を阻害することにより、消費者に悪影響を与えるとしている。
北米でのGEの当該事業の売上高は約34億ドルで、Electrolux North Americaの売上高は約26億ドルとしている。

これに対し、Electroluxは買収により逆に競争が増え、需要家は安い価格で、より幅のひろい高品質製品を買えるようになると反論した。

買収により、Electrolux の規模と効率が増え、イノベーションと成長に投資ができるようになり、需要家、販売店、従業員、株主全ての利益となる。

更に、司法省の今回の反対は、2006年にWhirlpoolによるMaytag(米国の厨房機器市場での主な競合者)買収を承認したのと完全に矛盾するとした。

同社によると、司法省に対し、司法省の懸念を解消できる提案を行ったが、司法省は拒否したという。

Electroluxは既に、ブラジル、カナダ、エクアドルで買収の承認を得ている。同社では年間で350百万ドル以上のシナジー効果があるとしている。

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今回、この訴訟の決着はついていないが、GE がギブアップした。

GEとElectroluxとの契約では、売却が実行できない場合、Electrolux がGEに解約金 175百万ドルを支払うこととなっており、GEはこの支払を求めた。

Electrolux は、同社が承認の取得に多大の努力をしており、裁判が進行中なのにGEが契約を打ち切ったのは遺憾であるとしており、解約金の支払についてはどうするか検討する。

「選択と集中」を進めるGEは今後も、別の売却先を探すとみられる。

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今回の買収、統合後の米国市場のシェアが、上記の通り、Whirlpool約30%、Electrolux 25%、LG 13%、Samsung Electronics 11%というのであれば、また司法省がWhirlpoolによるMaytag 買収を承認しているのであれば、この買収を認めないのはおかしいと思われる。

米紙によると、オバマ政権下で独禁当局が買収を認めないケースが増えている。

米ケーブルテレビ最大手Comcastは4月24日、Time Warner Cable に対し提示していた総額450億ドルの買収案を撤回すると発表した。
買収がインターネットサービスの面で
Comcastに不当な利益をもたらしかねないとして、米当局が難色を示したため。

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米食品流通大手のCisco Corporationは6月29日、35億ドル規模のUS Foods買収計画を断念した。
米連邦地裁判事による同買収計画の差し止め命令が原因。

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タイの水産加工大手Thai Union Groupは12月4日、米のツナ缶メーカーの同業大手Bumble Bee Foodsの買収を断念すると発表した。

2014年12月に、所有するLion Capital から全株を15.1億ドルで取得すると発表したが、独禁法に違反する恐れがあるとして、米法務省が待ったをかけた。

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米連邦取引委員会(FTC)は12月7日、米事務用品小売り大手のStaplesによる同業のOffice Depo買収は公正な競争を妨害するとし、差し止めを求めて提訴した。

Staplesは2月4日に63億ドルで買収すると発表していた。



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