iPhone と iPad の特許をめぐるApple、Samsungとの特許係争、続く

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2011年4月にAppleが米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に、Samsung がスマートフォン「Galaxy S」やタブレット端末「Galaxy Tab」などでAppleの知的財産権を侵害したとして提訴した裁判が今も続いている。

経緯は後述するが、上記裁判についての本年5月18日の連邦控訴裁判所の判決を受け、本年12月3日に、Samusung が Appleに548百万ドルの損害賠償金を払うことで両社が合意し、12月14日に支払が行われた。

しかし、Samsung は12月14日、米最高裁判所に上告し、同社とAppleとの間で争われている知的財産侵害訴訟の判決を見直すよう求めた。

最高裁が意匠に関する訴訟を取り扱ったのは1800年代までで、 その後は扱っていない。
(その当時の訴訟は、スプーンの取っ手、カーペット、鞍、ラグなどに関するものだった。)

Samsungは最高裁に対し、意匠に関する権利がどの範囲まで適用されるのか、またどのような賠償を請求できるのかについて指針を示 すことを求めており、最高裁が上訴を受理した場合、最高裁の最終判断がハイテク業界や消費者の購入できるすべてのガジェット類に波及的な影響を及ぼす可能性がある。

Samsungは、「この判例が効力を持った場合に影響を受けかねない大小すべての米国企業のために、米最高裁判所に上訴することが重要であると考えている」と述べている。

一方、Appleは12月23日、2012年にSamsungによる特許侵害を認めた陪審判決が出た後に販売された分に関連して、「付随的賠償および利子」名目でさらに180百万ドルの支払いをSamsungに請求 する訴訟をカリフォルニア州北部の連邦地裁に起こした。

両社の争いは2016年も続くこととなった。

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2011年4月にAppleが米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に、Samsung がスマートフォン「Galaxy S」やタブレット端末「Galaxy Tab」などでAppleの知的財産権を侵害したとして提訴した。

陪審団は2012年8月24日、SamsungがAppleの一部特許を侵害したとして、1,050百万ドルのAppleの損害を認定した。

陪審団は、Samsungのスマートフォンの大半は、Appleの技術特許3件とデザイン特許4件のうちの3件(合計7件のうち6件)を侵害したと認めた。
このうち、指の動きをタッチパネルが感知する技術など5件はSamsungが「故意に侵害」したと認定した。

技術特許 
  Bounce back ('381):ページの端をスクロールしたとき跳ね返る機能
  Single Scroll, Pinch to Zoom ('915):1本指でスロール、2本指でピンチ、ズーム
  Tap to Zoom ('163) :画面タップにより文書を拡大
     
デザイン特許
  iPhone Front (D'677) :Galaxy Ace以外が侵害
iPhone Back (D'087):Galaxy S, the Galaxy S 4G, Vibrantが侵害
iPhone Home Screen (D'305):13機種全てが侵害
iPad Design (D'889) :侵害無し

一方 、陪審団は、「Appleが自社の特許を侵害した」とするSamsungの主張は一件も認めなかった。

'516 特許 wireless technology
'941 wireless technology
'711 to play music while using other apps
'893 to scroll through the photo gallery, switch to the camera to take a pic, and then return to the same point
'460 to take a photo, preview it immediately, and email it off seamlessly

この裁判の裁判官は韓国系のLucy Kohで、当初は韓国企業と米国企業の裁判に韓国系の判事ということで話題となったが、訴訟指揮は高く評価された。

2012/8/28 Apple、Samsungとの特許係争で勝訴

これに対し、Lucy Koh判事は2013年3月1日、「1次評決で陪審員団が算定した1,050百万ドルの賠償金のうち43%に当たる450.5 百万ドルを削減する」と判決し、この部分について、新たな陪審員団に知的財産侵害の損害を再算出するよう命じた。

陪審員による賠償金額の算定方法に2つの法的な誤りが見つかったとしている。

①実用特許権の侵害に関する賠償金算出の際に、Samsungの利益に基づいて計算が行われた点で、このような計算方法は意匠権の侵害 の場合のみに適用される。

②賠償責任の対象となるのは、特許権が侵害されていると考えられる旨の通知をAppleがSamsungに対して行った後に発生した売上に限られる。
  2010年8月にサムスンと面談した際に示した特許権は1件のみ。
  その他の特許権は2011年4月に、また一部端末は同年6月以降に追加された。

2013年4月に同判事は、さきに削減したうち、Galaxy SII AT&T に関する賠償金 40百万ドルを承認した。

2013年11月21日、削減した分についての算出を担当する新しい陪審員は、Samsungに290 百万ドルの支払いを命じた。

この裁判では、Appleは380百万ドルを求め、Samsungは52百万ドルを主張していた 。

この結果、当初の1,050百万ドルの賠償金は、929百万ドルとなった。 (1,050ー451+40+290)

Samsungは控訴し、特許訴訟を専門に扱う米連邦巡回区控訴裁判所 (CAFC) は2015年5月18日、SamsungがAppleの複数の特許を侵害したと認定した が、賠償の一部は無効と判断した。

一般に認識されているiPhoneの特徴的な外観やデザインをSamsung がまねたとする「Trade dress」については、この点に関するAppleの主張は米商標法の保護対象にならないiPhoneの機能的要素に基づくものだと判断損害賠償額を見直すように、下級審に差し戻した。

日本でも、ある商品に必ずある機能的な形状、例えば、髭剃りは基本的にT字型、は立体商標として登録されないし、無効理由になる(商標法4条1項18号)。

Trade dressに違反する項目としては、四隅が均等に丸みを帯びた長方形の形状、製品の前面を覆うフラットでクリアな表面、そのクリアな表面の下のディスプレイ画面などが挙げられている。

判決では、「四隅が均等に丸みを帯びた」形状はポケットに入りやすく耐久性がある、「長方形」は表示を最大化する、というSamsungの主張を受け入れ、Appleはその主張を支える十分な証拠を示さなかったと述べた。

Trade dress 分は382百万ドルで、これを除くと548百万ドルとなる。

Samsungはデザイン特許等の侵害に対する賠償額の算定がおかしいとして、異議を申し立てたが、控訴裁は8月13日、異議申し立てを却下する決定を下した。

これに対し、Samsungは8月19日、控訴裁の判断の見直しを求め、最高裁に上告する方針を発表した。(上記の通り12月14日に上告)

Samsungは最高裁に上告する一方で、 Appleに548百万ドルの損害賠償金を払うこととした。

Samsung は、Apple が侵害だと主張する特許に無効などの措置が取られた場合には、支払った賠償金の一部または全額の返還を受ける権利を留保すると主張しているが、Apple 側はこのような権利を認めていない。

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