JXホールディングスと東燃ゼネラル石油は12月3日、両社の経営統合を目指すことで基本合意書を締結したと発表した。
今後、相互信頼と対等での精神に則り、統合に向けた協議を行い、2016年8月を目途に最終契約を締結する予定。
東燃ゼネラル石油はExxonMobilの子会社であったが、ExxonMobilグループから離脱している。
2012/1/30 ExxonMobilが東燃ゼネラル石油から実質撤退
2013/9/23 東燃ゼネラル、三井石油を買収へ
ExxonMobil は2014年時点では持株比率14.15% で、三井物産の9.99%を超えて筆頭株主であったが、その後売却を進め、2015年11月時点では保有比率は4.40%に下がり、筆頭株主は三井物産となった。
経営統合の方法
JX日鉱日石エネルギー(2016年1月1日にJXエネルギーに改称)を吸収合併存続会社とし、JXホールディングスの普通株式を対価とする三角合併とする。
統合比率は両社協議のうえ、決定する。
統合効果
統合後5年以内に、年度当たり1000億円以上の収益改善効果を達成することを目標とする。
以下の事項について、具体的な計画を策定する。
・ 製油所、油槽所などの統廃合
・ 川崎地区の製造拠点の一体運営
・ 組織統廃合、効率化
・ 精製・製造、需給、物流および販売の最適化の実行「JXは効率の悪い自社の製油所を減らし、東燃ゼネラル側には閉鎖を求めない方向で提案している」とされる。
両社の事業は下記の通り。
JXホールディングス | 東燃ゼネラル石油 | ||||
石油製品 | 製油所 原油処理能力 2015/3 (千BD) |
仙台 | 145 | 川崎 | 258 |
鹿島(鹿島石油) | 252 | 千葉 | 152 | ||
根岸 | 268 | 堺 | 156 | ||
大阪 (大阪国際石油精製) |
115 | 和歌山 | 132 | ||
水島 | 380 | ||||
麻里布 | 127 | ||||
大分 | 136 | ||||
合計 | 1,423 | 合計 | 698 | ||
油槽所数 | 48箇所 | 9箇所 | |||
SS数 | 10,655箇所 | 3,520箇所 | |||
石油化学 (年産能力) |
パラキシレン | 312万トン | 50万トン | ||
ベンゼン | 194万トン | 39万トン | |||
エチレン | 44万トン | 54万トン | |||
プロピレン | 99万トン | 75万トン | |||
上流 | 生産量 | 11.5万BD | |||
埋蔵量 | 846百万boe |
他に JX金属の上流(銅鉱山)、中流(銅精錬)、下流(電材加工事業など)がある。
石油化学については、JXは新日本石油化学(浮島にエチレン)、東燃ゼネラルは東燃化学(川崎にエチレン)を持つ。
12月3日の会見で、「石化の効率を考えると、やはり両社とも川崎地区に拠点があるため、ナフサなど原料を相互融通できる体制を取れば、効率化の余地は極めて高い」としている。
問題は独禁法である。
統合すると、ガソリン販売量の国内シェアは5割を超えるため、公取委の判断が焦点となる。
「シェア50%は公取委で慎重な審査が行われる水準だ」とする意見が強いが、出光/昭和シェルもシェアは3割を超えるため「対抗馬が誕生するため審査をパスしやすくなる」との意見もある。
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出光興産と昭和シェルは11月12日、対等の精神に基づく両社の経営統合に関する基本合意書を締結したと発表した。
2016/11/16 出光興産と昭和シェル、経営統合に関する基本合意書締結
JXホールディングスと東燃ゼネラル石油の経営統合が実現すれば日本の石油精製会社は実質3社体制となる。
国内石油元売り大手の昨年度の売上高は下記の通り。
会社名 売上高 JX + 東燃ゼネラル 14兆3335億円 1 JXホールディングス 10兆8824億円 出光興産 + 昭和シェル石油 7兆6277億円 2 出光興産 4兆6297億円 3 東燃ゼネラル石油 3兆4510億円 4 コスモ石油 3兆0358億円 5 昭和シェル石油 2兆9979億円
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