消費税の軽減税率適用範囲の拡大の影響 

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消費税の軽減税率(8%) 適用の範囲が、酒と外食を除く全ての飲食料品となった。


民主党政権下の2012年8月に、民主、自民、公明の3党合意で成立した消費増税法では、税収増加分すべてを社会保障費にあてることとしている。

これまで検討されてきた増収分の使途は下記の通り。

当初 2015年度 引き上げ後
消費税率 5% 8% 10%
うち、地方分 2.18% 3.10% 3.72%
(既存)高齢者年金・医療・介護 13 兆円 13 兆円 13 兆円
(増税分)
基礎年金国庫負担割合 1/2との差額 先取り 3 兆円 3.2 兆円
診療報酬、介護報酬、年金、子育て支援等の物価上昇分 残り 1/3   0.35 兆円 0.8 兆円
社会保障充実
総合合算制度
1.35 兆円
2.4 兆円
0.4 兆円
後代への負担の付回しの軽減   2/3 3.4 兆円 7.3 兆円
(消費税アップ分 計) - 8 兆円 14 兆円


社会保障の充実:子供・子育て支援の充実、医療・介護の充実、年金制度の改善
総合合算制度:消費増税に伴う低所得者対策として、医療、介護、保育などの自己負担総額に上限を設けるもの。

後代への負担の付回しの軽減 :既存の社会保障費(高齢化等での自然増を含む)のうち、安定財源が確保できていないもの。国の借金増を防ぐためのもの。

軽減税率を適用する場合、減収分を上記の使途のどれかを減らすか、他の財源から確保する必要がある。

財務省と自民党は軽減税率に充てられる財源は「総合合算制度」の導入に充てる予定だった「4000億円が上限」と主張してきた。
生鮮食品のみに軽減税率を適用する場合は3400億円程度である。

しかし今回、自民党の選挙対策で軽減税率適用範囲が拡大し、必要な財源は1兆円規模となるが、財源は確保できていない。

政府は財政健全化策として、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2020年度に黒字化するとした閣議決定を行なっているが、その際、軽減税率を導入した場合の税収減については触れていない。

与党合意では「2016年度末までに安定的な恒久財源を確保。財政健全化目標などを踏まえ、消費税を含む税制改革や社会保障制度改革など歳入・歳出のあり方を検討し、必要な措置を講じる」としている。

予定していた社会保障の充実がさらに見送られれば、国民からの批判は必至である。
谷垣幹事長は消費税率10%超への再増税について記者団に「将来の課題だ」と述べ、否定しなかった。

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