米連邦準備理事会(FRB)は12月16日、米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を 0%~0.25% から0.25%~0.50% に引き上げることを決めた。
利上げは約10年ぶりで、米経済は2007-09年の金融危機による打撃を概ね克服したとの認識を示した。
FRBは2014年1月29日に開いた会合で、債券買い入れ規模を減らし、量的緩和(QE3)の縮小を継続する方針を決めた。
アメリカ経済は消費や設備投資が一段と改善し、景気は「上向いた」という見方を示した。
FRBは2012年9月以来、毎月850億ドルの債券買い入れを続けていたが、2013年6月にバーナンキFRB議長が、経済指標次第としつつも「年内に証券購入ペースを緩めるのが適切」と述べた。
2013年11月の会合では縮小見送りを決めたが、12月の会合では2014年1月の買い入れ額を100億ドル減らすことを決めた。
2014/2/4 米国の量的緩和縮小とその影響
その後の推移は下記の通りで、FRBは2014年10月29日、QE3での資産購入を10月いっぱいで終了することを決めた。
なお、その時点では、ゼロ金利政策は「相当な期間、維持するのが適切」とした。
2014/1 750 億ドル (← 850億ドル) 2 650 4 550 5 450 7 350 8 250 10 150 11 0
付記
FRBの保有資産は2008年の危機前は1兆ドルを割り込んでいた。
2008年からの量的緩和(QE1 ~ QE3)での買い入れで、現在では4兆5千億ドルとなっている。
これを圧縮すれば、利上げとともに二重の引き締めとなるため、簡単には出来ない。
これを圧縮するには10年以上かかるとされる。真の「出口」はこれからである。
現在は満期を迎えても償還分を再投資して資産規模を維持している。
参考 日本の金利
付記
速水優総裁は2000年8月11日の会合で、「少なくとも日本経済はデフレ懸念の払拭が展望できる情勢に至ったと判断する」と総括、「政策判断としてどれでいくか決定するのは、日銀法第3条で認められた我々の自主性である」と言明し、政府の議決延期請求を否決してゼロ金利政策の解除を決めた。
ゼロ金利解除後、ITバブル崩壊で景気の雲行きが怪しくなり、速水総裁が2000年10月の会合で「米経済が少し変調をきたしているとの心配がある」と指摘。
日銀は2000年12月の会合で景気判断を下方修正、2001年2月には政策金利を引き下げ、3月に量的緩和政策という異例の措置に踏み切った。米国経済がITバブル崩壊から立ち直ると日本の景気も回復に向かい、2006年に入ると消費者物価は前年比で上昇するようになった。
その後も景気回復が続き、物価下落の圧力も低下したことから、7月14日にゼロ金利政策の解除が全会一致で決定され、短期金利が実質的にゼロという状況は2001年3月以来、5年4か月ぶりに解除された。2010年10月に三度目のゼロ金利政策が導入され、現在に至っている。
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