仏Sanofi と独 Boehringer Ingelheim、事業交換の交渉

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Sanofi とBoehringer Ingelheim は12月15日、両社が事業交換に関して独占的な交渉に入っていると発表した。

両社は2016年10-12月の取引完了を目指しており、実現すれば、Sanofi はConsumer Healthcareでグローバルリーダーとなり、 Boehringer Ingelheimは動物医薬品で世界二位となる。

Sanofi の評価額114億ユーロの動物医薬品事業(子会社"Merial") と Boehringer Ingelheim の評価額 67億ドルの Consumer healthcare 事業を交換するもの。
Boehringer Ingelheim の中国のconsumer healthcare 事業は交換の対象外となっている。 

Sanofi は評価額の差額の47億ユーロを現金で Boehringer Ingelheimから受け取る。

Sanofi

Boehringer Ingelheim

動物医薬品事業(子会社"Merial")
   評価額 114億ユーロ
Consumer healthcare 事業
  (中国事業を除く)
   評価額 67億ユーロ
現金     47億ユーロ

Sanofi のconsumer healthcare の2015年の売上高は、Boehringer Ingelheimの16億ユーロを加え、約51億ユーロとなり、グローバルなマーケットシェア 4.6%で、トッププレーヤーとなる。
両社の事業は製品でも地域でも極めて補完的である。

Sanofi は比較的弱かったドイツと日本での地位を高める。米国、欧州、ラテンアメリカ、ユーラシアでも事業を拡大する。
Boehringer Ingelheim は日本でエスエス製薬を傘下に持つ。
  
2010/2/16 Boehringer Ingelheim、エスエス製薬にTOB

Sanofi はまた、鎮けい薬、胃腸薬、ビタミン・ミネラル・サプリメント、鎮痛薬で有力ブランドを確保し、風邪薬では売上が増大する。

Boehringer Ingelheimの動物医薬品は、Sanofi のMerial の売上高25億ユーロを加え、売上高38億ユーロの世界二位の企業となる。

Merialは愛玩動物や家禽に強く、Boehringer Ingelheimは豚に強く、補完的である。

統合後の両社の分野別のグローバルの地位は下記の通り。

 Sanofi の Consumer Healthcare

市場規模
 億ユーロ
統合後の
地位
痛み止め 132 #2
アレルギー 31 #3
風邪薬 172 #6
女性用品 8 #1
消化薬 144 #1
ビタミン・ミネラル・サプリメント  276 #3

 Boehringer Ingelheimの動物医薬品

市場規模
 億ユーロ
統合後の
地位
小動物 71 #1
反芻動物 58 #4
26 #1
家禽 24 #3
6 #1


Sanofi (2011/5 Sanofi-Aventis から改称)はHoechstと Rhone Poulenc が合併してできたAventisと、フランスのSanofi-Synthelaboが2004年に合併したもの。

2011/2/17 Sanofi-Aventis、Genzymeを買収 

Boehringer Ingelheim は世界で20位以内に入る医薬会社で、1885年に設立されたドイツに本拠を置く家族経営の企業。

子会社の日本ベーリンガーインゲルハイムがエスエス製薬の株の約60.2%を所有していたが、2010年にTOBを行い、出資比率を93.83%とし、その後100%子会社とした。

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