武田薬品とイスラエルのTeva Pharmaceutical、日本でジェネリック医薬品のJV設立

| コメント(0)
Tevaの高品質なジェネリック医薬品と武田薬品の「長期収載品」と呼ばれる特許切れの医療用医薬品を日本で販売する。

日本で長年にわたり研究開発型の製薬企業として日本をリードしてきた武田薬品と、世界トップ10に入る製薬企業でジェネリック医薬品におけるグローバルリーダーであるTevaが戦略的に提携することにより、日本の患者と医療関係者の幅広いニーズ、およびますます高まるジェネリック医薬品の重要性に対応していくとしている。

新会社は、2016年4月以降の発足を予定しており、出資比率はTevaが51%、武田が49%で、独立した会社として運営される。
基本合意契約に関するその他の詳細は開示していない。

政府は、同じ効能で価格が半額からそれ以下の後発薬の普及を加速させる方針を決定、厚労省は後発薬を2017年度末までに60%とする普及目標を1年前倒しし、2020年度末までに80%以上にすると表明した。

武田の
国内医療用医薬品の売上高に占める特許切れ薬の比率は約45%とされる。後発薬が売り出されると販売が減少する。このため今後は長期収載品が売りにくくなることから、武田は特許が切れた薬の販売を本体から切りはなし、新薬の開発や販売に集中し収益力を高める。

Tevaは日本にテバ製薬を持っているが、新JVと連携するのか、統合するのかなどは未定。

ーーー

Tevaの日本での活動の歴史は下記の通り。

Teva Pharmaceutical は2008年9月、日本で興和との折半出資会社興和テバを設立して、日本市場に本格参入すると発表した。
両社の研究開発、製造、物流、マーケティングの力を合わせ、日本市場で高品質のジェネリック医薬品の供給を行なうとし、
2009年から営業を開始した。

2008/9/26 ジェネリック医薬品の世界最大手、日本進出 

興和テバは2009年12月、滋賀県甲賀市甲賀町の医療用医薬品のジェネリック専業メーカーの大正薬品工業とジェネリック医薬品で戦略的提携を行うことで合意、興和テバは大正薬品工業の株式の73.64%を取得した。

その後、2010年2月に第三者割当増資を引き受け、持株比率を88.28%に引き上げた。

2010年7月には大正薬品の営業部門を興和テバに統合、8月には完全子会社化し、10月には研究開発部門も統合している。

Teva は2011年5月にジェネリック医薬品で国内3位の大洋薬品工業の株式の過半数を取得する合意書を締結、創業家などから株式の57%を取得する契約を結び、更に残る株式全部について買収するオファを行い、2011年7月に大洋薬品の全株式を934 百万ドルで取得した。

2011/5/12 イスラエルの後発薬最大手テバ、日米で買収 

この結果、合弁の興和テバと100%子会社の大洋薬品工業が共存することになったが、Teva は2011年9月に興和テバの興和持分を1億5000万ドルで買い取り、興和テバを100%子会社とした。

2011/10/3 興和とイスラエルのTeva Pharmaceutical 、合弁事業を解消 

Tevaは、大洋薬品と興和テバを2012年4月に統合し、「テバ製薬」とした。

同社の業績は非開示だが、国内後発薬では日医工(売上高1270億円)、沢井製薬(1054億円)、東和薬品(714億円)に次ぎ、4位とみられる。


Tevaは海外でも買収を続けている。

2010年3月、ドイツ2位で世界6位の後発医薬品メーカー、Ratiopharmを36億2500万ユーロで買収すると発表。

2010/3/25 Teva Pharmaceutical、独Ratiopharmを買収

2011年5月、Cephalon68億ドルで買収することで合意

2011/5/12 イスラエルの後発薬最大手テバ、日米で買収 

2015年4月、米国のジェネリック医薬品大手のMylan に買収提案を行ったが、これは拒否された。

2015/4/24 イスラエルのTeva Pharmaceuticals、同業のMylanに買収提案

2015年7月、米医薬大手Allergan plc から後発薬事業を買収することで最終合意した。

2015/7/29 後発薬最大手のTeva、米 医薬大手の Allerganから後発薬事業買収

2015年10月、メキシコ製薬大手のRIMSA を買収すると発表した。買収にはラテンアメリカと欧州の医薬品の資産やパテントを含む。

2015/10/8 イスラエルのTeva Pharmaceutical、メキシコ製薬大手のRIMSAを買収

Allerganの後発薬事業の 合併により、Tevaの売り上げ規模は2014年の203億ドルから2016年に約260億ドルに上る見通しで、後発薬市場で他社を引き離し、首位を固める。
グラフにはRIMSAの買収は含んでいない。

コメントする

月別 アーカイブ