国際純正及び応用化学連合(IUPAC)は2015年12月30日、新元素113、115、117、118 を公式に認めた。発見者に命名権が与えられる。
新元素113(仮の名称 ununtrium=Uut) は理研チームが発見者と認定され、命名権が与えられた。
周期表に日本発の名前を、アジアの国として初めて書き加えることとなる。
1908年に当時第一高等学校教授であった小川正孝が第43番元素を発見し、ニッポニウム(Nipponium: Np)と命名した。
しかし後にそれは43番元素ではなかったことが判明し、ニッポニウムは幻の元素となった。
これは原子番号75のRheniumであった。今回の113には、一度間違いとされた元素名ニッポニウムは使用できない。
新元素115 (仮の名称 ununpentium=Uup) 、117(ununseptium=Uus)、118(ununoctium=Uuo) はロシアのDubna研究所とアメリカのLawrence Livermore National Laboratory及びOak Ridge National Laboratoryの共同研究グループが発見者と認められた。
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現在、原子番号1 番の水素(H)から112 番のコペルニシウム(Cn)までと、114 番フレロビウム(Fl)、116 番リバモリウム(Lv)の計114 種類が認定されている。
自然界には92番ウランより重い原子が存在しない。93 番以降は人工的に合成され、最近では2011年6月に114 番と116 番についてロシアと米国の共同研究グループが存在を報告、元素発見の優先権について国際的な認定を受けている。
93以上の原子番号の原子核は短い時間で崩壊し、安定な別の原子核へと変化してしまう。このため、新元素の合成を証明するには、その元素が崩壊連鎖を起こして既知の原子核に到達することが重要となる。
ロシアと米国の共同研究グループは、カルシウム(Ca)のビームを、アメリシウム(Am)やバークリウム(Bk)、カリホルニウム(Cf)に照射して113、115、117、118 番を合成し、その発見を主張した。
113番元素については、「115番新元素の原子核の初合成に成功し、その崩壊連鎖上の原子核として原子番号113の原子核も発見した」と発表したが、崩壊後に既知の原子核に至っていない。
理研の森田浩介准主任研究員(現 グループディレクター、九州大教授)らは理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」の重イオン線形加速器「RILAC」を用いて、2003年9月から亜鉛(Zn)のビームをビスマス(Bi)に照射し、新元素の合成に挑戦してきた。
2004年7月に初めて原子番号113の元素合成に成功し、その後、2005年4月にも合成に成功した。
しかし、113 が崩壊してできたボーリウム(Bh)が1例の報告しかなく既知核と確定できないこと、また、観測数が 2個と少ないことを理由に認定されなかった。
その後、研究グループは、2008~2009 年にボーリウム(Bh)を直接合成し、既知核への到達が確かであることを実験的に示した。
2012年8月12日、3 個目の113 の合成に成功し、これまでの4 回のアルファ崩壊に続き2 回のアルファ崩壊を観測、最後は原子番号101 のメンデレビウム(Md)になったことを確認した。
この113 は、これまでに理研が確認した2個とは異なる新たな崩壊経路をたどったため、113 番元素の合成をより確証づけるものとなる。
Db は、自発核分裂かアルファ崩壊で崩壊することが知られている。
前回は自発核分裂を起こしたが、今回はアルファ崩壊でLrとなり、両方を観測したこととなる。
2012/10/1 新元素 113
IUPAPが推薦する委員で組織された合同作業部会は、両研究グループの研究結果が認定基準を満たしているかを審議し、森田グループが観測した113番元素は確実に既知の原子核につながっているなどの理由から、森田グループが113番元素の発見者であるとIUPACに報告し、IUPACがそれを認めた。
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