米国の天然ガス価格の値下がりで、シェール関連での減損処理が続いている。
1)東京ガス
東京ガスは1月15日、Tokyo Gas Americaが出資する米国テキサス州Barnett 堆積盆におけるシェールガス開発事業について、ガス・原油価格下落の影響を踏まえた事業価値の再評価をおこなった結果、106 億円の減損損失を計上する見込みとなったと発表した。
同事業では2015年3月期にも約240 億円の減損損失を計上している。
同社では天然ガス価格(Henry Hub)を100万BTU当たり3ドル程度を想定していたが、昨年末に2ドルを切っている。
(本年に入り若干回復)
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東京ガスは2013年3月29日、Quicksilver Resources Inc.との間で、米国テキサス州Barnett 堆積盆におけるシェールガス開発事業の権益に関する売買契約を締結したと発表した。
東京ガスはTokyo Gas America の子会社としてTG Barnett Resources LPを設立し、Quicksilver がBarnett堆積盆でシェールガスを開発・生産している事業の権益25%を485百万米ドルで取得した。
同社持分のガス生産量は、LNG換算で約35~50万トン/年と見込んでおり、米国内市場に販売する。
同鉱区はバーネット堆積盆の複数鉱区で、約13万エーカー。確認埋蔵量は天然ガス1.2兆立方フィート。
2013/4/2 東京ガス、米国でシェールガス開発事業に参加
2)BHP Billiton
BHP Billitonは1月15日、米国のオンショアエネルギー資産(シェールガス)について減損処理すると発表した。
72億ドル(税引き後で49億ドル)という過去最大の減損処理となる。
エネルギー資産の過去の減損処理の最大は 2013年の複数資産についての55億ドルであった。
同社はエネルギー事業では、2012年にFayetteville シェール分で28.4億ドルの減損処理を行ったが、2015年でも米国のシェールで28億ドル(税引き後で20億ドル)の減損処理を行っている。
同社では減損処理について、相場見通しの下方修正や開発計画の見直しを反映するもので、生産性は大幅に改善しているものの、これらがその効果を大きく打ち消したとしている。また減損処理で米国のオンショア事業の正味評価額は160億ドル前後に減少するとした。
また、稼働しているリグ(掘削装置)の数を1-3月期中に7基から5基に減らすほか、キャッシュフローを維持することを目指し年内の投資・開発計画を見直す方針も示した。
CEOは、「石油・ガス相場は業界の予想よりも大幅に下落している」と述べた。
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BHP Billitonは外国からの米国のシェールへの最大の投資者であり 、4つのシェールオイル (Eagle Ford、Permian、Haynesville、Fayetteville)で権益を有している。
BHPは2011年2月に、米天然ガス大手Chesapeake Energyからアーカンソー州のFayetteville Shaleの権益全てとパイプラインを47.5億ドルで買収した。
2011/2/23 BHP Billiton、米シェールガス鉱区を買収
2011年7月には、テキサス、ルイジアナ両州に約100万ネットエーカーのオイルシェール資産を保有するPetrohawk Energy の全株式を現金でのTOBで取得する契約を締結した。
買収金額は121億ドルで、借入金込では151億ドルになる。
この買収で、BHPはテキサスのPermian BasinとEagle Ford、テキサスとルイジアナにまたがるHaynesvilleの権益を取得 した。
シェール以外では、米国で Gulf of Mexicoの海上油田(Shenzi、Atlantis、Mad Dog ほか)の権益(24%~44%)を有している。
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