東芝メディカルシステムズの争奪戦?

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東芝は2015年12月21日、画像診断装置などを手掛ける全額出資子会社の東芝メディカルシステムズを売却する方針を明らかにした。「少なくとも50%以上、場合によっては100%の株式売却も考える」としている。売却額は数千億円規模になる見通し。

同社は2014年2月のヘルスケア事業戦略説明会では、東芝の目指す姿として、「エネルギー」「ストレージ」に加え「ヘルスケア」を第3の柱としてスマートコミュニティを実現するとしていた。

しかし、今後は原子力事業やNAND型フラッシュメモリーに経営資源を集中させる方針で、ヘルスケアは売却による財務体質の改善を優先させる。

同社の室町社長は「メモリーは今の市況は厳しいが、将来は成長する。原子力発電所も世界ではある程度、新設が進む」と説明した。

半導体事業について分社化で収益力強化を図る考えがあることを改めて示唆した。原発事業のうち国内向けが中心の沸騰水型軽水炉(BWR)については他社との連携の可能性は排除しない」としつつも、「まだ白紙だ」と述べるにとどめた。

  参考 2015/12/8 東芝の原子力事業 

東芝メディカルシステムズはコンピューター断層撮影装置(CT)、磁気共鳴画像装置(MRI)、超音波診断装置などに強みを持ち、画像診断機器全体の国内シェアは28%で首位、世界でもシェア12%で4位となっている。

2016年3月期の売上高は4400億円、営業利益は150億円を見込む。

関係者によると、ソニー、キャノン、富士フィルム、英GE Healthcare などが候補に挙がっており、Kohlberg Kravis Roberts (KKR) などのファンドも関心を寄せている。

東芝では今後入札を実施し、速やかに売却を完了させたい意向で、2016年1月の早い時期に売却条件などの情報を開示するとしている。

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東芝が売却を富士フイルムホールディングスに打診していることが分かった。

富士フイルムは健康・医療部門などに注力しており、デジタルX線画像診断や超音波診断装置など比較的小型の医療機器に強みを持っている。東芝側は大型機器に強く、事業統合による相乗効果は大きい。

 

富士フィルムのヘルスケア部門

2006/11/2 富士フイルム、超音波画像診断分野に参入 、メディカル・ライフサイエンス事業拡大
2008/2/19 富士フイルム、富山化学を買収、総合ヘルスケア企業を目指す
2010/2/22 富士フイルム 医薬品開発・販売に本格参入
2010/9/3 富士フイルム、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリングと資本提携 (再生医療)
2011/2/28 富士フイルム、米メルクからバイオ医薬事業買収
2011/8/2 富士フィルム、ジェネリック医薬品のDr. Reddy's Laboratories と業務提携 
2011/12/21 富士フイルム 超音波診断装置の大手 SonoSite, Inc.の買収合意
2014/10/31 富士フィルム、ワクチン受託製造市場へ参入
2014/11/18 富士フイルム、PET検査用の放射性医薬品市場に参入
2015/7/27 富士フイルム協和発酵キリン、バイオシミラー医薬品の開発・販売で AstraZeneca と提携
東芝メディカルシステムズは、富士フイルムとのつながりが深 い。

2002年3月に富士フイルムグループのフジノン(旧富士写真光機)と東芝メディカルシステムズが「フジノン東芝ESシステム」(富士フイルム60%、東芝メディカル40%)を設立し、東芝グループの内視鏡事業の一部を継承した。

東芝は内視鏡事業から全面撤退を発表、2009年3月末にフジノン東芝ESシステムの株式をフジノンに売却した。

富士フイルムは内視鏡事業をメディカル・ライフサイエンス事業の中でも重点分野として位置付け、2008年10月にフジノンより富士フイルムメディカルに移管し て開発・製造・マーケティング機能を強化しており、2009年4月にフジノン東芝ESシステムを富士フイルムメディカルと統合した。

また、富士フィルムと東芝のメインバンクは三井住友銀行である。

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日立製作所も東芝メディカルシステムズの買収を検討している。

日立はヘルスケア事業を成長戦略の柱と位置付けており、東芝メディカルを取り込み、事業を拡大したい考え。

日立は子会社の日立メディコがMRI やCT を手がけているが、世界シェアは数%にとどまり、GEや独Siemens、オランダのPhilips などの後塵を拝している。
東芝メディカルの買収により、3強を追い上げる考え。

日立は2014年度で3,379億円だったヘルスケア事業の売上高を2018年度には6千億円に引き上げる計画で、診断機器事業の拡大を図るとしている。

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