コスモ石油、丸善石油化学を連結子会社化

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コスモエネルギーホールディングスは1月7日、持分法適用関連会社の丸善石油化学の連結子会社化に向け、公正取引委員会に対し、株式取得に関する計画届出書を提出したと発表した。

今後、公取委による企業結合審査と並行し、丸善石油化学の他の株主と株式の譲受けに向けた協議を継続し、3月末までに、株式譲渡契約を締結し、連結子会社化することを目指す。

石油化学事業を取り巻く環境は、今後厳しくなることが懸念されるが、連結子会社化により、石油精製事業と石油化学事業の一体運営を進め、各事業の競争力強化を図る。

両社の関係は次のとおり。

丸善石油化学の現在の株主は下記の通り。

コスモ 40%  コスモエネルギーホールディングス 30%、コスモ松山石油 10%
宇部興産 12%
デンカ  12%
JNC  12%  (チッソ)
東ソー  5%
KHネオケム 2%  旧称 協和発酵ケミカル
2010/10/27 協和発酵キリン、子会社の協和発酵ケミカル売却で合意 
三菱東京UFJ 4%
みずほ 4%
自己株式 9%

丸善石油化学は1959年に設立された。

1960年10月にルルギのエチレン技術導入の承認を受け、宇部興産(LDPE)、新日本窒素(アセトアルデヒド、PPほか)、電気化学(SM、PS、ABSほか)、日産化学(高級アルコール)、日本曹達(EO/EG)と丸善石油化学コンビナートを形成した。

1964年に第1エチレンプラント、1969年に国内初の年産30万トンの第3エチレンプラントを完成。
1994年には年産 60万トンと国内最大の生産能力を誇る第4エチレンプラントを、三井化学・住友化学とのJVの京葉エチレンとして完成した。

コンビナートの現在の主な製品とメーカー、過去の経緯は下記の通り。

製品 社名

株主

能力
    千トン

丸善石化 その他
エチレン 丸善石化 100% 525
京葉エチレン 55% 住友化学 45% 768
住友化学が50%+α を引取 
(当初は三井化学が22.5%出資、25%引取)
LDPE 宇部丸善ポリマー
50% 宇部興産 50% LD 123
LL 50
宇部興産のLDPE事業を分離
HDPE 丸善石化 100% 111
1981 日産丸善ポリエチレン(日産化学 51%、丸善石化 49%)
1991 丸善石化 100%、丸善ポリマーと改称
2005 丸善石化が吸収合併
JNC石油化学 JNC 100% 63
旧 チッソ石油化学
京葉ポリエチレン 50% JNC石化 50%
上記2社の製品の共同販売会社
EO/EG 丸善石化 100% 115
1963 日本曹達100%の曹油化でスタート
1985  
曹油化 50%、丸善石化 50%で 曹丸善ケミカル
1999 丸善石化が
曹油化(四日市でEO)を買収
2000 
曹油化と曹丸善ケミカルが合併、丸善ケミカル
2005 丸善石化が吸収合併
VCM 京葉モノマー 18.75% 旭硝子 56.25%
クレハ 25.00%
200
1993/6 旭硝子75%、丸善石化 25%で設立
1995/7 クレハ参加(引取枠5万トン)
2003/1 クレハがPVC商権を大洋塩ビに譲渡
(京葉モノマー出資はそのまま、VCMは塩化ビニリデン用を除き、大洋塩ビが引取)
SM 千葉スチレンモノマー デンカ 100% 270
当初、電気化学 60%(162千トン)、住友化学 40%(108千トン)
2012 住化離脱、デンカは自社プラント(240千トン)を停止
PP 日本ポリプロ 日本ポリケム 65%
JNC 35%
250
2003年 日本ポリケム(三菱化学 65%/東燃化学 35%) とチッソが事業統合
その後、日本ポリケムは三菱化学 100%
ブタジエン 千葉ブタジエン 50% 宇部興産 50% 170
有機化学製品 五井化成 50% 日立化成 50%
1972 丸善石油と日立化成が設立
1984 丸善石化が丸善石油から譲受
ミックスキシレン CMアロマ 35% コスモ石油 65%
その他 丸善石化

ーーー

石油業界では、出光興産と昭和シェル、JXホールディングスと東燃ゼネラル石油の経営統合が発表された。

2015/11/16  出光興産と昭和シェル、経営統合に関する基本合意書締結

2015/12/4   JXホールディングスと東燃ゼネラル石油の経営統合

コスモは、これらの発表の前に、千葉で東燃ゼネラル石油と、四日市で昭和シェルグループの昭和四日市石油との事業提携を発表している。

千葉では共同事業会社へ精製設備を一元化し、その際に、コスモの2系列のうちの1系列(100千バレル/日)を廃棄する。

四日市では、今後想定される石油需要減少および高度化法二次告示に対応するため、コスモ四日市の常圧蒸留装置1基を停止する。

上記の経営統合で、これらの事業提携に変化があるのかどうか不明(現在のところ、発表はない)

各社の製油所とトッパー処理能力は下記の通り。(千bbl/d)

トッパー処理能力

 当初 高度化法 現状
東燃ゼネラル石油

 

川崎 335 268 258 2015/3/31 10 削減
156 156 156
和歌山 170 132 132
合計 661 556 546
極東石油工業 千葉 175 152 152
東燃グループ合計 836 708 698
コスモ石油 千葉 旧 丸善 240 240 220

No.1 100 →今回廃棄

No.2 120

四日市 旧 大協 175 112 132

No.5 63

いずれか1基を停止

No.6 69

旧 丸善 80 100 100

坂出 旧 アジア 140 0 0 
コスモ石油合計 635 452 452
昭和四日市石油 四日市 205 255 255

コスモ石油に石油製品・半製品を供給

西部石油 山口 120 120 120
東亜石油 京浜

70

70 70
昭和シェル 扇町 120 0 0
昭和シェル合計 515 445 445

  
2015/5/21  コスモ石油、千葉と四日市で精製能力半減


 

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