米下院は1月6日、オバマ大統領の看板政策である医療保険制度改革(ObamaCare)を廃止する法案を240 対 181の賛成多数で可決した。
廃止法案は上院で昨年12月3日に可決済みで、オバマ大統領のもとに送られた。
法案にはObamaCareの廃止と、望まない妊娠・出産や性病の拡散を防止すべく設立されたNPOのPlanned Parenthood への補助金を停止する内容が含まれる。
このNPOには、人工妊娠中絶された胎児の臓器を研究者に売買していたとの疑惑が取り沙汰されている。
議決は下記の通り。
上院(2015/12/3) 下院(2016/1/6) 共和党 民主党 無所属 合計 共和党 民主党 合計 賛成 52 0 52 239 1 240 反対 2 44 1 47 3 178 181 棄権 1 1 4 9 13 合計 54 44 2 100 246 188 434
上院では審議入りにはフィリバスターを避けるため、上院の5分の3以上の議員(60人以上)の打ち切り賛成が必要だが、今回の廃止法案では予算審議をからめる特別な投票手続き (Budget reconciliation)を使用し、民主党によるフィリバスターを回避し、過半数の賛成で可決にこぎつけた。
オバマ大統領は1月8日、これに拒否権を発動した。
大統領は下院への書簡で、「約1760万人の米国人が医療保険の対象となった」と成果を訴え、オバマケアを廃止すれば十分な医療を受けられず死亡する米国民が「年間1万人以上増える可能性がある」と指摘し、廃止を訴える野党共和党を批判した。
拒否権を覆すには両院が3分の2の多数で再度可決することが必要だが、これは事実上不可能である。
しかし、共和党が敢えて議決したのは、大統領選で共和党が勝てば、拒否権発動はないため、ObamaCareを廃止できるとのメッセージを国民に送るためとされる。
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