Samsung 製品に特許侵害で販売差し止め命令

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2011年4月に提訴された Samsung と Apple の特許裁判では、既報の通り、2015年12月3日に、Samusung が Appleに548百万ドルの損害賠償金を払うことで両社が合意し、12月14日に支払が行われたが、Samsung が12月14日に米最高裁判所に上告するなど、今も争いが続いている。

2015/12/30 iPhone と iPad の特許をめぐるApple、Samsungとの特許係争、続く

これとは別の両社の争いが今回、決着を見た。

2016年1月18日、カリフォルニア州の連邦裁判所は差し戻し審で、SamsungがAppleの特許権を侵害したと認めた上で同社製スマートフォンの販売を差し止める決定を下した。

「スライドでロック解除」「スペル自動補正」「クイックリンク」に関する特許侵害で、これらの技術を使用するSamsung製端末の Galaxy Nexus、Galaxy Note、Galaxy Note 2、Galaxy S2、Galaxy S2 Epic 4G Touch、Galaxy S2 Skyrocket、Galaxy S3などの販売が差し止められた。

この決定の効力は、判決から30日後に生じるが、クイックリンクの特許に関しては、偶然にも2016年1月末日で特許権自体が消滅する。

今回の決定によって販売差し止めが認められた機種は、いずれも数年前に販売されていたスマートフォンで、販売禁止の影響はSamsungに対してほとんど影響を与えないと見られている。

しかし、特許権侵害によって製品の差し止めが認められたという事実は、Appleの今後の販売戦略上大きな意味を持つ。


2014年3月にAppleは2011年の提訴とは別の5つの特許侵害で、またSamsungも自社の2つの特許侵害で、互いに相手を訴えた。

2014年5月2日、カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁の陪審は、AppleとSamsung双方の特許権侵害を一部認め、 Samsungに対しては(Appleによる22億ドルの請求に対し)119.6百万ドルの賠償金を、Appleには(Samsungによる620万ドルの請求に対し)158.4千ドルの賠償金を、それぞれ支払うよう命じた。

Appleの特許のうち、2つは特許侵害はなかったと認定した。

2011年の提訴では、陪審は1,050百万ドルのAppleの損害を認定した。
この場合は意匠権が含まれており、米国の特許法では、意匠権の侵害では侵害者が得ていた利益を全額賠償金として請求できる制度があるので、賠償金が巨額になりやすい。

今回は意匠権は対象になっておらず、狭義の特許権5件が対象のため、このような少額の損害認定となった。

Appleはこの判決を基に販売差し止め命令を求めたが、Koh判事は2014年8月、「Appleが被った不利益は損害賠償によってまかなわれている」として、これを却下した。

しかし、巡回控訴審2015年9月17日、Apple はSamsungに対し、特許を侵害する機能の搭載差し止めを求める権利があると認め、一審判決を破棄し、連邦裁判所に再審理を求めて差し戻した。

「競合相手による財産権の使用を排除する権利は重要なものであり、この排他性を維持する権利は、アメリカ合衆国憲法に由来する権利であり、特許権の本質である」とし、第一審判事は「Samsungの侵害に禁止命令を出さず、裁量権を乱用した」と述べた。



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