EU首脳会議、英離脱回避へ改革案合意

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欧州連合は2月19日夜、ブリュッセルで開いた首脳会議で、英国のEU離脱を回避するためにCameron英首相が求めているEU改革案を巡って全会一致で合意した。

合意を受け
Cameron首相は、6月23日に国民投票を実施することを決め、自らはEU残留を訴えていく考えを明らかにした。

首相は、「イギリスは、改革後のEUの中でより安全で強く、豊かになるだろう」と述べ、離脱派の主張について、「離脱した場合、統一市場との自由な貿易を続けられるか、雇用は確保されるか、明らかにできていない」と述べ、牽制した。

今月行われた6つの世論調査によると、EU残留支持は平均51%、EU離脱支持は平均49%と世論が拮抗しており、改革の内容を強調して残留に導けるかどうかが大きな課題となる。

付記  
与党・保守党の有力な政治家で下院議員も務めるBoris Johnson ロンドン市長は2月21日、EU離脱支持を明らかにした。
「離脱こそが資金を節減し、実権を取り戻す道にほかならない」と語った。


EU首脳会議の合意の主な点は下記の通り。

  議事録は http://www.consilium.europa.eu/press-releases-pdf/2016/2/40802208947_en_635915443200000000.pdf

キャメロン首相 今回の合意
Emergency brake  EU域内からの移民に対し税控除 、児童手当など福祉サービスを4年間制限


(背景)

東欧からの移民の大量流入で、職を奪われたり、負担が増大するとの不満

EUは「人、物、サービス、資本の自由移動」を保障
但し、英国はシェンゲン協定の国境検査撤廃の適用対象から除外されている。

EUからの移民により福祉制度に過度な圧力がかかるような「例外的な状況」が発生した場合、各国が福祉サービスの受給を最長4年制限することを認める。

但し、新たな移民のみが対象
東欧諸国 は既にサービスを受けている移民の受給権を阻害しないよう要求)

継続期間 最大13年 最終、7年で合意
(東欧4カ国:Poland, Hungary, Slovakia, Czech は5年限定を主張)
うち
Child benefits
両親が英国で働くが英国以外で住む子供への児童手当の廃止

(その後譲歩)
子供が住む国の生計費指数で調整

子供 が住む国の物価に合わせて児童手当の支給額を減額

当面、新規移民に適用
2020年からは全移民に適用

Economic Governance 非ユーロの英国が差別されないこと ユーロ圏と非ユーロ圏での差別を禁止
ユーロ圏救済の費用負担免除 ユーロ圏内で危機が起こっても、非ユーロ圏加盟国は救済措置には参加しない
Ever-closer union
(
統合深化)
英国への適用除外 統合深化を英国に適用しない
各国議会に事実上の拒否権付与 12週間以内に加盟国議会の計55%が反対すればEUの新法制を廃棄
Competitiveness
(EU競争力強化)
競争政策推進 域内市場の強化
規制緩和・改善
管理費用の低減等

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