トクヤマは1月29日、トクヤママレーシアの多結晶シリコンプラントに関して、事業計画の見直しに伴う減損損失1,234億86百万円を計上した と発表した。
本プラント(第二期プラント)は、2014年10月に営業運転を開始し、太陽電池向けグレードの生産を行ってき たが、世界的な供給過剰を背景とした販売価格の著しい下落が続き、今後の価格見通しが事業計画における想定を大きく下回ることとなったもの。
このため、将来の投資回収可能性を検討した結果、減損損失を計上した。
ーーー
トクヤマは徳山製造所に半導体用途を中心に年産 8,200トンの多結晶シリコン設備を持っていた 。
(当初 年産5,200 トンであったが、半導体用2,500トン、太陽電池用500トンの計3,000トンを増設し、8,200トンになった。)
2009年8月に太陽電池用途の増産対応とリスク分担の面から、マレーシアのサラワク州のサマラジュ工業団地に総工費約800億円をかけて太陽電池向け多結晶シリコンの年産 6,000トンの大型プラント建設を決めた。
2011年初めに着工し、2013年9月の営業運転開始を目指した。
トクヤマは2012年11月に、これを主として半導体向けグレードを生産・販売する計画に変更、2013年2月に一部設備を除き建設が完了、その後試運転を開始した。
更に、2011年には第二期として太陽電池向けに年産13,800トンの建設を決めた。(投資額 1,000億円、累計 1,800億円)
合わせて徳山製造所の能力を11,000トンとした。
2008/12/5 トクヤマ、マレーシアに多結晶シリコン第二製造拠点
全て完成後は、日本11,000トン、マレーシア20,000トンで合計31,000トンとなるが、同社はこれにより、半導体用途は世界シェア20%を維持し、太陽電池用途では5%程度のシェアを10%程度に引き上げるとしていた。
ーーー
トクヤマは2014年10月31日、マレーシアの子会社 Tokuyama Malaysia Sdn. Bhd. の多結晶シリコン工場・第一期プラント(年産:6,200トン)の製造設備に関して、860億27百万円の特別損失を計上したと発表した。
マレーシアの多結晶シリコン工場・第一期プラントについては、2013年2月に一部設備を除き建設が完了し、その後、主として半導体向けグレードを生産・販売することを目指し、試運転を行ってきた。
半導体向けグレードは、非常に高い純度をはじめとする高品質が求められるが、当初想定していた品質・生産安定性が達成出来ず、技術的な課題解決を図ってきた。
しかしながら、析出装置に関する問題が存在し、様々な技術的な課題解決を図ったとしても、当面顧客認定用サンプルの出荷が事実上不可能であると判断した。
このため、減損損失 748億20百万円と事業計画の見直しに伴う関連費用 112億7百万円の合計 860億27百万円を計上した。(特別損失計上後の当プラントの簿価は33億円)
同社は2013年3月期にも、市況が急激に悪化し、将来のキャッシュフローが見込めないとして、徳山製造所の多結晶シリコンと併産品の乾式シリカ設備を全額減損処理(275億円)し、合わせて、多結晶シリコン用原材料について20億円の評価損を計上している。
2014/11/3 トクヤマ、マレーシアの多結晶シリコン計画で特別損失計上
しかし、2014年10月の第二期の営業運転開始時の多結晶シリコンの市況は 20$/kg以上であったが、その後暴落を続けた。
同社では中期計画で市況を16~20 $/kg としていたが、今回、13.5~15 $/kg に見直した。
販売数量についても、中期計画の12,000トン/年を11,000トン/年に下方修正した。
減損損失1,234億86百万円計上後のプラントの簿価は94億円となった。
同社では2016年度にはコストダウンを実施、2017年度以降は販売数量11,000トンでの通期黒字を見込んでいる。
同社の多結晶シリコン事業の状況は下記の通り。
用途 | 能力 | 減損 | ||
徳山工場 | 半導体用、太陽電池用 | 11,000トン | 2013年度 | 設備全額減損処理 275億円 原材料評価損 20億円 |
マレーシア1期 | 半導体用 出荷不能 有効活用策検討中 |
6,200トン | 2014年度 | 減損損失 748億20百万円 関連費用 112億 7百万円 合計 860億27百万円 |
マレーシア2期 | 太陽電池用 | 13,800トン | 2015年度 | 減損損失 1,234億86百万円 |
コメントする