天津爆発事故の調査報告書

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中国国務院の事故調査チームは2月5日、天津市で2015年8月に起きた瑞海公司(RuiHai International Logistics) の化学物質倉庫の爆発に関する調査報告書を発表した。

8月12日の爆発での死者は165名、不明8名、負傷者798名(うち重症 58名)で、死者の内訳は、公安の消防隊員24名、天津港の消防隊員75名、公安警察11名、事故企業および周辺企業と周辺住民55名。不明者は、天津港の消防隊員が5名、その他が3名。

被害を受けた建物は304棟、破損した自動車(販売用)は12,428台、破損コンテナー 7,533個で、直接の経済損失を68億6600万元(約1230億円) としている。
事故で漏れた化学物質が健康に及ぼすリスクは「極めて低い」と結論づけた。
天津港の水質や大気に大きな影響が残っていないとしている。

爆発の原因については、不適切に保管された可燃性の強いニトロセルロースが
保湿剤がなくなったため乾燥し、気温の上昇で自然発火し、近くのコンテナーの硝酸アンモニウムなど 他の物質の爆発を引き起こしたとしている。

爆発当時には消防隊が放水したことが化学物質の大爆発を招いたとの声が相次いだが、放水と爆発の因果関係には直接触れていない。

瑞海公司は、違法に貨物置場をつくったり、違法に危険物を保管したり、不適切な安全管理を行うなど、多くの安全管理違反を行っていた。
「危険物の保管方法など安全管理が極めてずさんだった」と指摘している。

コンテナーヤードには7類の危険品(第一類の火薬と第七類の放射性物質を除く)合計111種 11,384トン、うち硝酸アンモニウム 800トン、シアン化ナトリウム 681トン、ニトロセルロース類229トンを保管していた。
うち運抵庫(受入倉庫)には72種類、合計4,840トンを保管、うち硝酸アンモニウム800トン、シアン化ナトリウム 360トン、ニトロセルロース類48トンを保管していた。

シアン化ナトリウム681トンは、施設の設計上の保管量を40倍以上も上回る。

下図は当初の報道による。

同社幹部が当時の市幹部に現金や商品券を贈ったり、ゴルフや飲食の接待をしたりして営業に関する許可を得ていた 。

報告書は、施設への監督を怠ったなどとして、副市長2人を含む123人を免職や降格などの処分にするよう求めた 。
このうち74人は共産党の規律などに基づき処分するよう勧告した。


事故について:

2015/8/14 天津で大規模爆発 
2015/8/17 天津大爆発のその後
2015/8/21 天津爆発事故のその後(2)
2015/8/27 天津爆発事故のその後(3)
2015/9/7 天津の爆発事故現場、早くも公園化計画 批判相次ぐ 
2015/9/21 天津爆発現場の現状



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