住友金属鉱山は2月15日、米国最大手の産銅会社 Freeport-McMoRan が経営するアリゾナ州のMorenci 銅鉱山の権益を追加取得すると発表した。
同社は1986年から30年間にわたり、住友商事とのJVのSumitomo Metal Mining Arizona (住友金属鉱山 80%、住友商事 20%)を通じて同鉱山に15%の出資をしており、 2013年1月には、同鉱山の年間生産量を28万トンから40万トンへ増産する拡張プロジェクトに参画することを決定している。
既存鉱山の拡張であり収益性が高いこと、確立された技術による開発であり新規プロジェクトと比較して参入リスクが低いことなどから参画を決めた。
採掘量 日量 635千トン→ 815千トン 選鉱処理量 日量 50千トン→ 115千トン 銅生産量 年間 280千トン→ 400千トン 日本側引取量 年間 42千トン→ 60千トン
今回、住友金属鉱山 は従来の実質出資比率12%を25%に引き上げる。
住友商事は追加出資をしないため、JVを解消し、個別出資に切り替えると思われる。
出資比率は下記の通りとなる。
従来の比率 新比率 Freeport-McMoRan 85% 72% 住友金属鉱山 JV
15%12% 25% 住友商事 3% 3%
権益追加取得に係る対価は総額10億米ドルで、追加取得の資金はすべて新規の借り入れで賄う。
これにより、住友金属鉱山の持分の銅生産量は年間48千トンから100千トンに62千トン増加する。
(なお、今後5年間平均の銅生産量は48万トンとしており、同社持分は120千トンとなる。)
同社は長期ビジョンの中で、権益シェア分の銅生産量30万トン/年を目標に掲げて いるが、この追加取得により、この目標の達成が視野に入ることとなる。
銅国際価格は現在1トン4500ドル前後と、約7年ぶりの安値水準で、採算割れした鉱山の閉鎖が進んでいる。
チリのカセロネス銅鉱山に関連し、JX金属は2016年3月期に約800億円の減損損失を計上、三井金属もは193億円の減損を計上する。
しかし住友金属鉱山では、新興国の経済成長に伴い需要は増加し、鉱山閉鎖などで需給は引き締まると判断、各社が投資を手控える中で銅鉱石の調達体制を強化する。
Morenci 鉱山は生産量では世界で3本の指に入り、銅鉱石の埋蔵量は少なくとも20年分以上で、製鉄時に添加剤として使うモリブデン鉱石も副産物として採掘できるため、コスト競争力が高い。
他方、住友商事は資源関連で多額の減損損失を計上しており、出資増を避けたと見られる。
2014/10/1 住友商事、米国のタイトオイル開発などで大幅な損失計上
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住友金属鉱山は2016年2月15日、中期経営計画を発表した。
そのなかで、「世界の非鉄リーダーを目指す」とし、以下のターゲットを立てた。
同社の拠点は下記の通り。
銅鉱山は下記の通り。
鉱山 | 国 | 権益 | 能力 | ||
住友金属 鉱山 |
住友商事 | その他 | |||
Morenci | 米国 | 25% | 3% | Freeport-McMoRan 72% | 48万トン |
Cerro Verde | ペルー | 16.80% | 4.20% | Freeport-McMoRan 53.56% others 25.44% |
30万トン→50万トン (2016/1Q 完工) |
Sierra Gorda | チリ | 31.5% | 13.5% | KGHM International 55% | 22万トン |
Ojos del Salado | チリ | 16% | 4% | Lundin Mining 80% | |
Candelaria | |||||
Batu Hijau | インドネシア | 3.5% | 18.2% | Newmont Mining 31.5% others 46.8% |
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Northparkes | 豪州 | 13.3% | 6.7% | China Molybdenum 80% |
ニッケルについては下記参照
2009/8/22 住友金属鉱山、比最大手ニッケル鉱山会社の株式を取得
Pogo金鉱山は住友金属鉱山の海外での初の主導的な開発プロジェクトで、1991年に探鉱を開始、1997年にTech Resources と提携し、探鉱及び企業化調査を進めた。
Techは本年4月にこの権益をJVパートナーの住友金属鉱山へ2億4500万米ドルで売却した。
1)位置:米国アラスカ州フェアバンクスの南東約145キロ
2)権益比率:住友金属鉱山アメリカ社(住友金属鉱山100%子会社) 51%→85%
Teck Resources 40%→ 0
SC Minerals America(住友商事100%子会社) 9%→15%
3)埋蔵金量:109t(2008年末鉱量計算結果)
4)年間生産金量:11~12t/年
5)開発投資額:約378百万ドル(出資比率で負担)
2009/7/14 中国政府系ファンドCIC、カナダの資源大手に出資
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