Petrobras のBraskem 売却構想

| コメント(0)

ブラジルの国営石油会社Petrobras SAは2016年1月に Braskem の持株 36.1% を売却することを決めた。

Petrobrasを巡っては国を揺るがす騒動が起こった。

同社の元幹部が、同社との契約を希望する建設会社らに賄賂を要求し、契約額の数%相当、総額6千億円規模が与党政治家らに不正献金として渡っていた疑いで、捜査対象は政財界の有力者に広がっており、これまで元官房長官や、建設大手でBraskemの大株主のOdebrechtの経営幹部などが逮捕されている。

2008年から最近までOdebrechtの経営に当たっていた Marcelo Bahia Odebrechtは19年の懲役刑を受けた。

Petrobrasは1300億ドルに上る負債を圧縮し、資金繰りを確保するため、本年に140億ドルの資産売却を検討している。

Petrobras は2月26日、中国国家開発銀行から100億ドルの融資を受けることで合意したと表明した。
2009年には、中国開発銀から100億ドルの融資を受ける代わり、Sinopecに対して10年間にわたり日量20万バレルの石油を提供することで合意しているが、今回も同様に中国企業に対して燃料を供給する。

これまでに3社がBraskem株購入に関心を示しているとされる。
カナダのBrookfield Asset Management とSaudi Aramcoで、もう一社は中国の石油化学事業会社とされる。

中国企業については名前を挙げられていないが、別途、CNOOCが少数持分の購入に関心を示していると報じられている。

問題は、Braskemの主株主のOdebrecht とPetrobrasが意思決定を共同で行 っており、Petrobrasの持分売却の条件に、Odebrechtが売却先をパートナーとして受け入れることが含まれており、Odebrechtが決定を保留していることで売却交渉が止まったままになっている。

Braskemの株主 (過去の経緯は後記の通り)

議決権 全体
Odebrecht 50.1% 38.3% 共同意思決定
Petrobras 36.1% 36.1%
その他 2.9% 25.6%

「その他」に議決権 0.96%をもつ双日が含まれる。

日商岩井と三菱化成は1974年にHDPE製造のため地元企業との合弁でPolialden を設立、1975年にPVC事業のためCPC(その後Trikemに改称)を設立した。
2003年にBraskemは三菱化学、日商岩井から両社の持株を買収したが、日商岩井はBraskem株式と交換した。

現地紙によると、Odebrecht もBraskemの持株を売却することを検討しているとされる。
しかし、今のところ、Odebrechtは売却を否定している。

現地紙によると、Odebrechtの関連会社のOdebrecht 農業法人が背負っている債務100億レアル(約3200億円)の返済計画見直しにあたって、貸付銀行団は追加担保として、Braskemの持分を狙っているとされる。

仮にOdebrecht と Petrobras が売却するとすると、持分総額は時価で111億レアル(3500億円)になるという。

ーーー

Petrobras(ブラジル国営石油会社)とOdebrecht(Braskemの主株主)2010年1月24日、Petrobras 40% / UNIPAR 60%出資のQuattor Petrochemical のUNIPAR持株を買収し、同社をBraskemに統合すると発表した。買収額は478百万ドル。

また、PetrobrasBraskemへの出資を増加する。

Odebrechtは議決権の50.1%を保持するが、 Petrobras OdebrechtBraskemでの意思決定を共同で行う。
このため、両社は持株会社
BRK Investimentos Petroquimicosを設立する。

2010/1/25 BraskemとPetrobrasの石油化学事業統合

                          


ーーー

Braskemの能力は下記の通り。(千トン)

コメントする

月別 アーカイブ