三井物産、炭素繊維関連事業に相次いで投資

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世界的に温暖化対策が喫緊の課題となっている中、輸送機器のエネルギー消費削減に向けた解決策の一つとして、部材の軽量化が挙げられており、炭素繊維等の軽量化素材の市場が急速に拡大すると見込まれている。

三井物産は、炭素繊維関連事業に相次いで投資を行った。

三井物産は3月1日、ノルウェーの Hexagon Composites ASA に25%出資出資総額は約110億円を予定することで合意するとともに、 Hexagon と業務提携契約を締結した。

Hexagon Compositesは世界最大の樹脂ライナー製炭素繊維強化圧力タンクメーカーで、拡大する天然ガスなどの輸送・貯蔵需要に対応して、軽量かつ耐久性、安全性の高いコンポジットタンクを供給している。最近では燃料電池自動車向けに高圧水素タンクを開発している。

 主な事業分野:LPG事業、高圧天然ガス輸送事業、高圧天然ガスタンク事業、高圧水素タンク事業

三井物産とHexagonは、コンポジットタンクの販売を軸として、約20年にわたり強固なパートナー関係を構築してきた。
今回の出資参画と業務提携を機に、事業資産及びグローバルネットワークを活用して Hexagonの事業拡大に取り組むと共に、輸送機器分野における温暖化ガス排出削減の課題解決に貢献していくとしている。

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三井物産は3月3日、韓国の Hankuk Carbon Co., Ltd. (韓国カーボン)と炭素繊維などの複合材料加工事業分野で包括的な業務提携契約を締結した。
また、韓国カーボンへ306億韓国ウォン(約28億円)を出資し、株式10%(議決権ベース)を取得する。

韓国カーボンは1984年の設立以来、炭素繊維をはじめ多様な複合材料を組み合わせた部品・材料加工事業を拡大させてきた。 

 主な事業分野炭素繊維プリプレグ、LNG船断熱パネル、ハニカムペネル材

今後成長が期待される航空機・自動車などの輸送機器向けに複合材料加工事業の展開を加速する。

韓国カーボンの趙文秀代表は「自動車、航空機の軽量化に合わせ、炭素繊維複合素材を利用した素材・部品の開発で協力していく。30年間取引を続けてきた三井物産との戦略的パートナーシップがさらに強化された」と述べた。

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三井物産は2015年4月には、金沢工業大学の革新複合材料研究開発センター(「ICC」)と、炭素繊維複合材料による自動車部品等製造の新製法に関する実証研究を行うことで合意し、複合材料研究に関する協力協定書及び機械貸借契約を締結している。

ICCは2013年7月、金工大により設立され、異業種・異分野の技術融合による炭素繊維複合材料の可能性を開拓することを目的とする国内最大級の複合材料研究センター 、全国の産学官研究者を集結し、中間加工分野における国際競争力を向上させるべく、革新的技術の開発を目標としている。

三井物産はこれまで、経済産業省のコーディネートの下、ICC及び炭素繊維複合材料ユーザー企業との取り組みの検討を行ってきたが、実証用設備一式 (3億円)を購入し、ICCを中心とするユーザー企業を含む関連企業コンソーシアムに同設備を提供し、共同で炭素繊維複合材料による自動車部品を始めとした幅広い部材等製造の新製法開発及び実用化を目指 す。

(欧州では自動車メーカー主導で、材料供給から加工までの体制が確立され、炭素繊維複合材料が自動車の主要骨格部材等の部品として採用されている事例があ る。)

ICCでの取り組みの模式図

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三井物産は新中期経営計画で掲げた7つの攻め筋における事業展開に取り組んでいる。

ハイドロカーボンチェーン エネルギーの上流~下流、関連事業の展開
資源(地下 + 地上)・素材 資源採掘から素材加工、循環型社会構築への取組
食糧と農業 食糧増産と食の安定供給に貢献するソリューション提供
インフラ 国造りへの貢献とインフラを起点とするビジネスの広がり
モビリティ 輸送機械等の製造・販売・金融・関連サービス
メディカル・ヘルスケア 病院を中核とした事業展開と医薬バリューチェーン
衣食住と高付加価値サービス 次世代機能(IT/金融/物流)活用による消費者連動型ビジネス

炭素繊維関連事業は、「資源・素材」・「モビリティ」の2つの攻め筋に跨 る。

三井物産では、グローバルに炭素繊維関連事業の拡大に取り組んでいく。

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