SABMiller、華潤雪花ビールを売却

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香港の華潤ビール(China Resources Beer)は3月2日、SABMiller とのJVの華潤雪花ビール(China Resources Snow Breweriesを100%子会社化すると発表した。
SABMillerの持分49%を総額16億ドルで買収する。

SABMillerの買収を決めたAnheuser-Busch InBev (AB InBev) との間で合意したもので、中国当局の認可と、AB InBevによるSABMiller買収の完了が条件となる。

華潤雪花ビールは、遼寧省瀋陽市の国有ビール工場が生産していた「雪花ビール」のブランドが前身で、1994年に華潤創業が51%、SABMillerが49%の合弁会社となった。

華潤創業は中国中央政府系コングロマリット華潤集団の子会社で、スーパーやコンビニエンスストアなど中国全土に約4800店の小売店を展開してきた。
しかし、英小売大手のTescoから引き継いだ店舗の採算が改善せず、2014年 12月期には上場以来初の赤字に転落した。

このため、2015年9月1日付けでビール以外の事業を親会社の華潤集団に譲渡し、華潤ビールに改称した。

中国では、華潤雪花、青島ビール、AB InBevが3強で、AB InBevSABMillerを傘下に収めると中国でのシェアは40%近くになる。

中国のビール市場の2014年のシェア(華潤ビール発表)は、華潤雪花が23.2%、青島ビールが 18.4%、AB InBev(バドワイザーHarbinビールなど) が14.0%、燕京ビールが10.7%、Carlsbergが4.6%となっている。

華潤雪花ビールは中国国内で90カ所を超える醸造所を運営している。

これだけでもAB InBevによるSABMiller買収承認の障害となるが、2008年11月の InBev によるAnheuser Busch 買収の際に、中国商務部は、「華潤雪花ビールの株式保有を求めてはならない」との条件を付けて承認している。

このため、AB InBev はSABMiller買収の承認を得るため、華潤雪花ビールを手放すこととしたもの。

InBev によるAnheuser Busch 買収の際に中国商務部が付けた条件は下記の通り。

(1)青島ビールに対するAnheuserの株式保有率27%を増加してはならない。
(2)
InBev の主要株主もしくは主要株主の株主に変化が発生した場合には、ただちに商務部に通告すること。
(3)珠江ビールに対する
InBevの株式保有率28.56%を増加してはならない。
(4)華潤雪花ビールと北京燕京ビールの株式保有を求めてはならない。

上記のうち、青島ビールについては、AB InBevは2009年4月に、所有する株式27%のうち、19.99%を6億6700億ドルでアサヒビールに売却した。
アサヒビールは2009年8月に青島ビールとの間で「戦略的協力合意」を締結した。

別途、サントリーが2012年6月に、 青島ビールとの間で、上海および江蘇省におけるビールの事業会社と販売会社を50/50の合弁で上海に設立した。

2008/12/1 中国の独禁法、初の海外での合併ケース

華潤ビールは「中国のトップメーカーの一つである華潤雪花ビールを完全に所有し、世界最大のビール市場である中国での発展戦略を有効に実施できるようになる」と述べた。

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ビール世界最大手のAnheuser-Busch InBev (AB InBev)は2015年11月11日、英のSAB Miller を697億8000万英ポンド(約13兆円)で買収することに正式合意したと発表した。

両社の合併については、各国の独禁法当局が問題視するのは必至だが、AB InBev は対策に "best efforts" を約束、承認を得られない場合には30億米ドルのReverse Break-Up Fee(買主からの解約金)を支払うことも約束した。

AB InBevは、米当局からSABMiller 買収の承認を得るため、SAB Miller所有のMillerCoorsの持株 58%を合弁相手の米 Molson Coors Brewing に120億ドルで売却した。

2015/10/14 ビール世界最大手のAnheuser-Busch InBev、2位のSAB Millerを買収へ

更に欧州での承認を得るため、SABMillerの欧州事業の一部をアサヒビールに売却する。

2016/2/16 アサヒビール、英SABMillerの欧州事業の一部を買収 



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