IneosのCEOのJim Ratcliffeはこのたび、英紙に対し、3年以内に本社をスイスから英国に戻すと述べた。
多額の負債を抱え再建中であった同社は2010年に本社を英国からスイスのレマン湖沿岸のヴォー州 Rolleに移転した。
当時の英国の法人税率は28%で、増税が検討されており、税金の負担が増えるとし、英国よりももっと低税率の国に本社を置く他の主要化学会社と競争していくためにスイスに本社を移すとし た。
移転により2014年までの間で450百万英ポンドの節税になると見込んだ。
2010/3/5 INEOS、節税のためスイスへの移転を検討
その後、英国は法人税率を2013年4月以降に30万ポンド以下の所得について20%に引き下げ、2015年4月以降は課税所得に関わらず20%となった。
更に、2017年4月以降は19%に、2020年4月以降は18%に引き下げられる予定となった。
英国の方が税率が低くなったため、再度英国に本社を移すもの。
各国の実効税率は下記の通り。 スイスの場合、地方税は州により異なるが、 ヴォー州は地区により20.75~23.6%となっている。
日本については、2015/12/7 実効税率の引き下げ
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Ineosは本社はスイスに移したものの、最近は英国への投資を増やしている。
同社は英国でのシェール開発を拡大している。
2014/8/22 Ineos、スコットランドのシェールガス開発に参加
2014/10/3 Ineos、英国でのシェール開発反対を抑えるため大盤振る舞い
2014/10/18 Ineos、英国で更にシェールガスの権益を取得
LetterOne Groupの子会社のDEA Deutsche Erdoel AGから英国の北海ガス田全ての権益を買収することで合意した。
スコットランドのGrangemouth 石油精製・石油化学基地を含め、全英に4千人の従業員を抱えている。
今回、英国への再移転を決めたが、Ratcliffe は英国の税率に満足しておらず、英国産業の破滅的な没落を避けるため、税負担を更に下げるよう求めている。
英紙への投稿で、保守党に対し、1桁台の税率を導入するよう求めた。現状は英国の製造業の緩やかな死を防ぐために十分ではないとしている。
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