公取委、コンデンサーメーカーに課徴金納付命令

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公取委 は3月29日、家電や自動車に使われる2種類のコンデンサーの価格でカルテルを結んだとして、独禁法違反で、ニチコン、日本ケミコン、ルビコン、松尾電機、NECトーキンのメーカー5社に計約67億円の課徴金納付命令を出した。

日立AICとビシェイポリテックは違反を自主申告したため課徴金を免除された。ビシェイは排除命令は受けている。
なお、NECトーキンは50%の減額措置を受けた。

日本ケミコン、ニチコン、ルビコン、日立AICは、円高で輸出による利益確保が難しくなったため、2010年2月〜2011年11月にアルミ電解コンデンサーの販売価格を値上げすることで合意した。ニチコンとNECトーキン、ビシェイポリテック、松尾電機は、原材料費の高騰を理由に、2010年6月〜2011年10月にタンタル電解コンデンサーで価格カルテルを結んだ。

公取委は2014年6月24日、疑いが強まったなどとして、メーカー10社程度に立ち入り調査を行った。
その結果、2015年12月に、コンデンサー7社の独禁法違反を認定し、うち5社に計約67億円の課徴金の納付を命じる方針を固めていた。

日本 
(2016/3/29)
台湾
(2015/12/19)

千円

減免 排除命令

百万円

アルミ電解
 コンデンサー
日本ケミコン 1,435,240 8,307
ルビコン 1,067,740 4,618
エルナー 283
三洋電機 3,115
ニチコン 3,362,230 412
日立AIC 0

免除

小計 5,865,210 3社 16,735
タンタル電解
 コンデンサー
NECトーキン 127,150 50% 4,507
ニチコン 277,950
ビシェイポリテック 0 免除 115
松尾電機 427,650 90
小計 832,750

3社

4,712
合計 6,697,960

6社

21,447

コンデンサー業界は日本のほか、中国、台湾、米国、韓国でカルテルの調査を受けている。

中国の国家発展改革委員会(NDRC) は2014年、他国の競争当局に先がけてコンデンサーの価格カルテルの調査を開始した。

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台湾の公平交易委員会(公取委に相当)は2015年12月9日、スマートフォンなどに使う電子部品のコンデンサーについて、日本ケミコンなど日 本企業とその海外子会社10社が価格カルテルを結んでいたとして、総額約215億円の課徴金を科すと発表した。台湾でのカルテルに対する課徴金としては過去最高額。

2015/12/15 台湾、日系などのコンデンサーメーカーの価格カルテルに多額の課徴金

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米当局も現在、キャパシタ(電解コンデンサー)業界のカルテルの調査を行っている。

司法省は2015年9月2日、NEC TOKIN が罪を認め、1380万ドルの罰金を支払うと発表した。
合わせて、同社は今後の調査への協力を約束しており、今後、広がる可能性がある。

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韓国の公正取引委員会は、2015年秋に、日本のコンデンサーメーカー8社が最大4兆ウォン(約4100億円)台の価格カルテルを結んでいた疑いで調査に入った。

調査対象はパナソニック、ニチコン、日本ケミコン、日立化成、NECトーキンなどの8社。

2015/10/3 韓国公取委、日本のコンデンサーメーカーの価格カルテル調査 

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各社の概要は以下の通り。

日本ケミコン:1931年 佐藤電気工業所として設立(日本発の電解蓄電器の製品化)

ルビコン:1952年 日本電解製作所として設立、アルミ電解コンデンサ製造開始

エルナー:1929年 本田製作所として創業、1934年 アルミ電解コンデンサの採算・販売

三洋電機:2009年に事業(サン電子で製造)をサン電子に売却

ニチコン:1950年 関西二井製作所設立、1956年 アルミ電解コンデンサ製造開始

NECトーキン:1938年 東北金属工業設立、1988年トーキンに改称、2002年NEC・電子部品事業と統合、改称

日立AIC:1965年に日立化成が神奈川工場を分離、日立コンデンサを設立、のち改称

Vishay Polytec:米のVishay Intertechnologyは2014年に日立コンデンサの三春工場のタンタル・ニオブコンデンサ事業を取得
 (
2010年に台湾の禾伸堂企業が日本に設立したホリストン ポリテック㈱に事業譲渡、ホリストンがVishayに譲渡)

松尾電機:1949年設立

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