トヨタ自動車、バイオ合成ゴムを原料としたエンジン・駆動系ホースを採用

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トヨタ自動車は4月21日、高い耐油性、耐熱性が必要な特殊ゴム製部品であるエンジン・駆動系ホースに、バイオ合成ゴム(バイオヒドリンゴム)を世界で初めて採用すると発表した。

国内生産車種のバキュームセンシングホース(エンジン吸気系部位に使用)に2016年5月から順次適用し、年内には国内生産の全車種に採用する予定。
今後、ブレーキ系ホース、燃料系ホースなどの特殊ゴム部品にも採用拡大を目指す。

このバキュームセンシングホースは、トヨタと日本ゼオンおよび住友理工が共同開発した。

住友理工は旧称 東海護謨工業で、自動車用防振ゴム・ホース部門の国内トップメーカー。
1937年に住友グループに入った。2014年に現社名に改称した。

ヒドリンゴム(エピクロルヒドリンゴム)は耐油性、耐熱性、耐熱老化性、耐オゾン性、ガス透過性に優れ、ホースなどに使われる。
エピクロルヒドリンの単独重合体(略称 CO)と、エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドの共重合体(略称 ECO)がある。

バイオヒドリンゴムは、ヒドリンゴムの原料の一部であるエピクロルヒドリンを植物由来のバイオ原料に替えて製造したもので、ライフサイクルでCO2排出量を約20%抑制可能とする。

今回、植物由来原料を分子レベルで石油由来原料と結合させ合成ゴムへ変換する技術など、様々な複合化技術を駆使することにより、バキュームセンシングホースに求められる耐油性、耐熱性、耐久性は同等レベルを確保した。
さらに部品製造においても、従来の石油系ヒドリンゴムを用いた場合と同等の品質と量産性を確保し、市販車への採用を可能としている。


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Solvayは2007年4月、同社技術での菜種油からのバイオディーゼル生産時の副生グリセリンを原料とするエピクロルヒドリンの生産をフランスのTavauxで開始したと発表した。
当初の能力は年10千トンで、需要に応じて簡単に拡張できる。
グリセリンはバイオディーゼル生産時の副産物で、1トンのバイオディーゼルに対して100kg のグリセリンが副生する。

Solvay のEpicerol プロセスは、グリセリンと塩酸から中間体のジクロロプロパノールを直接合成し、次の脱塩化水素工程でエピクルヒドリンを生成する。
塩素と水が少なくて済み、廃液も少ないのが特徴で、20以上の特許を取った。

2007/4/13 Solvay、バイオディーゼル副生グリセリンを原料とするエピクロの生産開始

Solvayは2007年9月、タイのMap Ta Phut にEpicerol®法による年産10万トンのエピクロルヒドリン工場を建設すると発表した。

生産開始後、Solvayはこの事業をPVCのJVのVinythai に移管した。

2007/9/11 Solvay、タイでエピクロルヒドリン生産

Dow もバイオディーゼル副生のグリセリンからエピクロ生産の独自の技術を持っており、Dow Epoxyが上海ケミカルパークで初めて工業化をした。

年産10万トンの液体エポキシ樹脂とともに、グリセリンからの年産 15万トンのエピクロルヒドリンのプラントを建設した。

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日本ゼオンの米国子会社Zeon Chemicals は2013年2月、ミシシッピー州の Hattiesburg 工場で椰子油や植物性油から作ったエピクロルヒドリンを使ってHydrinゴムを開発していると発表した。



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