米製薬大手のPfizerはこのたび、自社製品が死刑執行に使われないよう、流通を規制すると発表した。

「当社の製品の死刑での使用についての見解」というタイトルで、要旨は次のとおり。

Pfizerの使命は健康と福祉の向上であり、当社の製品の死刑での使用に強く反対する。

死刑に使われる製品について、流通を制限する。

対象製品は、臭化パンクロニウム、塩化カリウム、プロポフォール、ミダゾラム、ヒドロモルフォン、臭化ロクロニウム、臭化ベクロニウムで、これら7 製品については、刑務所に死刑用に再販売しないという条件で、特定の業者にのみ販売する。

政府機関が購入する場合は、医療用に使用し、死刑には使わないということを確認する。また第三者に転売しないことの確認をする。

Pfizerはこれら7つの製品の流通を絶えずチェックし、ルールに従わないのを見つけた場合は対応する。
このシステムで、これらの薬に頼っている患者が薬を入手できることが重要である。

Pfizer は昨年、同業の米 Hospira, Inc.を170億ドルで買収した。

Hospiraはジェネリック注射剤を製造し、医療施設で広範囲に利用されている。またバイオ後続品の販売や開発も手がける。

2015/2/11 Pfizer、米製薬会社 Hospira, Inc. を買収 

これらの医薬品はHospiraが生産しているもので、Hospira自身、自社製品の死刑での使用を禁止しているが、昨年、Arkansas で死刑に使われた薬品のラベルが明らかになり、Hospira製の塩化カリウムであることが分かった。

Hospiraを買収したPfizer として立場を明らかにしたもの。

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米国では、麻酔薬などの注射による死刑執行が一般的だが、死刑を廃止している欧州との関係などから製品の使用を拒む製薬会社が相次いでいる。

死刑に反対する人権組織によると、米国で死刑に使われる医薬品を製造する世界の25のメーカーが死刑用の使用を禁止した。ニューヨーク・タイムズによると、通常の流通ルートで執行のための薬物を購入することはできなくなる。

昨年は6つの州で28人が死刑となっており、本年はこれまでで5つの州で14人の死刑が執行された。

2014年1月に1人の死刑を執行したオハイオ州は、薬の入手のため、何度も執行を遅らせた。現在、執行日時が決まっている囚人が20人以上いるが、薬を入手できていない。

テキサスなどいくつかの州では、FDAの承認を受けていない複合薬を使っているという。テキサス州は医薬品の供給者を明らかにしておらず、死刑に反対する弁護士から訴えれている。

ユタ州は昨年、医薬品の入手が出来ない場合、銃殺することを認めた。オクラホマ州は窒素ガスでの執行を認めた。テネシー州は2014年に医薬品が見つからない場合、電気椅子の使用を認める法律を通した。バージニア州も同様の法律を検討している。