1. 三菱ケミカルホールディングス
各分野とも好調で、2014年下期に連結対象とした大陽日酸の業績がフルに寄与したこともあり、営業損益は大幅増益となり、過去最高だった2011年3月期を上回った。
但し、大陽日酸も高収益の田辺三菱製薬も三菱ケミカルの出資は50%超に過ぎないため、少数株主帰属利益が大きい。
(大陽日酸 50.56%、田辺三菱製薬 56.34%)
当期は、減損損失の計上などで特別損益が大幅赤字となり、少数株主帰属利益を引いた当期損益は前期比でマイナスとなった。
単位:億円 (配当:円) |
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営業損益は下記の通り。次年度は減益を見込む。
営業損益対比(億円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ケミカルズ:石化市況堅調、受払差損縮小、定修規模差により増益
2014年下期から大陽日酸が連結対象となったことが増益に貢献 (+188億円)
2014/5/19 三菱ケミカルホールディングス、大陽日酸株式の公開買い付けポリマーズ:原料価格下落によりポリオレフィン、フェノール・ポリカ増益
MMA関連はアジア需要低迷、市況悪化により減益
デザインドマテリアル:原料価格下落によりポリエステルフィルム及び高機能フィルム増益、
電池材料増販により増益
ヘルスケア:導出に伴う技術料収入増に加え、重点品・ワクチンの増販により増益となった。特別損益のうち、減損損失は790億円。 主なものは下記の通り。
テレフタル酸 インド MCC PTA 432 中国 寧波三菱化学 204 遺伝子組換え人血清アルブミン製剤 田辺三菱子会社 ㈱バイファ 33 電解液 英 MC Ionic Solutions 31 トナー 米 三菱化学イメージング 20 産業ガス シンガポール Leeden National Oxygen 14 特殊合成樹脂 米 Lucite International 11
2016/2/9 三菱化学、テレフタル酸で減損損失計上
なお、インド MCC PTA については2015年3月期にも104億円の減損損失を計上している。
田辺三菱製薬の実績は以下の通り。
単位:億円 (配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当 中間 期末 2014/3 4,127 591 619 454 20.0 20.0 2015/3 4,151 671 677 395 20.0 22.0 2016/3 4,317 949 948 564 22.0 24.0 前年比 166 278 271 169 2.0 2.0 2017/3予 4,065 755 770 570 24.0 24.0
ノバルティスへの多発性硬化症治療薬、ヤンセンへの糖尿病治療剤等のロイヤルティー収入の増加のほか、バイオジェンへの自己免疫疾患治療剤のライセンス契約、アムジェンほかへの脂質異常症治療剤の特許・ノウハウ譲渡契約一時金などが大きく寄与した。
また血漿分画製剤の販売提携終了もあり売上原価率が低下した。
2014年下期から連結対象とした大陽日酸の業績は下記の通り。
単位:億円 (配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当 中間 期末 2014/3 5,227 315 305 202 6.0 6.0 2015/3 5,594 353 343 208 6.0 7.0 2016/3 6,415 434 432 258 7.0 9.0 前年比 821 81 89 51 1.0 2.0 2017/3予 6,100 520 487 300 9.0 9.0
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2.住友化学
石油化学部門で、千葉工場の石油化学事業再構築やPetroRabighの定期修繕等の影響により、出荷が減少し、売上高は前年比マイナスとなった。
PetroRabighの定期修繕の影響で持分法損益も前年比でマイナスとなった。
農薬、医薬品、石油化学が好調で、営業損益は過去最高となった。
特別損益は、千葉再構築などの事業構造改善費用が一段落したため赤字が減少し、当期利益は前年を上回った。
三菱ケミカルと同様、大日本住友製薬など高収益企業の少数株主帰属利益分が大きい。
単位:億円 (配当:円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業損益対比(億円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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セグメント変更
旧 基礎化学 旧 石油化学 エネルギー・機能材料 アルミナ製品、アルミニウム、機能性材料、
添加剤、染料等合成ゴム 石油化学 無機薬品、合繊原料、有機薬品、
メタアクリル等合成ゴム以外
石油化学:千葉工場の石油化学事業再構築やPetroRabighの定期修繕等の影響により売上減となったが、
(前期 9,323億円、当期 6,571億円、増減 -2,752億円)
交易条件の改善や一時的なライセンス収入により、増益情報電子化学:販売価格下落で減益
健康・農業関連:増収と円安で増益
医薬品:米国の増収と円安による増益が大きい。
特別損益の状況は下記の通りで、事業構造改善費用の減少が大きい。
2014/3 2015/3 2016/3 投資有価証券売却益 34 41 158 固定資産売却益 162 減損損失 -218 -333 -247 事業構造改善費用 -106 -322 -48 投資有価証券評価損 -15 その他 56 45 合計 -249 -407 -136
このうち、 減損損失は以下の通り。
(2015/3 333億円) 英国 EL材料、デバイス 126 新居浜 アルミナ 64 新居浜 医薬品(撤去) 52 韓国 サファイア基板 48 韓国 ダッチセンターパネル 16 (2016/3 247億円) シンガポール S-SBR 85 ポーランド ディーゼル・パティキュレート・フィルター 82 シンガポール メタアクリル 54
大日本住友製薬の業績は次の通り。
単位:億円 (配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益 配当 中間 期末 2014/3 3,877 421 406 201 9.0 9.0 2015/3 3,714 233 233 154 9.0 9.0 2016/3 4,032 369 352 247 9.0 9.0 前年比 318 137 119 93 - - 2017/3予 4,100 400 400 250 9.0 9.0 日本では、後発医薬品の使用促進による大幅減収で減益
北米では、「ラツーダ」や抗てんかん剤「アプティオム」の売上が拡大、円安の影響もあり、大幅な増収増益
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