主要企業の2016年3月決算 - 三菱ケミカルホールディングス、 住友化学

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1. 三菱ケミカルホールディングス

各分野とも好調で、2014年下期に連結対象とした大陽日酸の業績がフルに寄与したこともあり、営業損益は大幅増益となり、過去最高だった2011年3月期を上回った。

但し、大陽日酸も高収益の田辺三菱製薬も三菱ケミカルの出資は50%超に過ぎないため、少数株主帰属利益が大きい。
(大陽日酸 50.56%、田辺三菱製薬 56.34%)   

当期は、減損損失の計上などで特別損益が大幅赤字となり、少数株主帰属利益を引いた当期損益は前期比でマイナスとなった。

                                                        単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 持分法 経常損益 特別損益 税引後 少数株主 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 34,988 1,105 -4 1,031 135 603 280 322 6.0 6.0
2015/3 36,563 1,657 38 1,631 26 965 356 609 6.0 7.0
2016/3 38,231 2,800 101 2,706 -724 1,056 592 464 7.0 8.0
前年比 1,668 1,143 63 1,076 -749 92 236 -144 1.0 1.0
2017/3予 36,000 2,110 1,980 800 8.0 8.0


営業損益は下記の通り。次年度は減益を見込む。

営業損益対比(億円)           
  2014/3 2015/3 2016/3 前年比 増減内訳 2017/3
予想
売買差 数量差 コスト
削減
ケミカルズ 7 92 573 188
293
65 42 18 188
171
535
ポリマーズ 23 268 433 166 195 -23 31 -50 380
エレクトロニクス -55 -27 -10 17 -26 7 45 -8 -20
デザインドマテリアルズ 475 561 757 196 115 70 36 -20 670
ヘルスケア 673 770 1,034 264 -7 301 41 -71 820
その他 57 65 73 8 14 5 -7 45
全社 -75 -71 -60 11 12 -1 -320
合計 1,105 1,657 2,800 1,143 342 411 188 202 2,110


ケミカルズ:石化市況堅調、受払差損縮小、定修規模差により増益
       2014年下期から大陽日酸が連結対象となったことが増益に貢献 (+188億円)
          2014/5/19 三菱ケミカルホールディングス、大陽日酸株式の公開買い付け 

ポリマーズ:原料価格下落によりポリオレフィン、フェノール・ポリカ増益
       MMA関連はアジア需要低迷、市況悪化により減益
デザインドマテリアル:原料価格下落によりポリエステルフィルム及び高機能フィルム増益、
             電池材料増販により増益
ヘルスケア:導出に伴う技術料収入増に加え、重点品・ワクチンの増販により増益となった。

特別損益のうち、減損損失は790億円。 主なものは下記の通り。

テレフタル酸 インド MCC PTA 432
中国 寧波三菱化学 204
遺伝子組換え人血清アルブミン製剤 田辺三菱子会社 ㈱バイファ 33
電解液 英 MC Ionic Solutions 31
トナー 米 三菱化学イメージング 20
産業ガス シンガポール Leeden National Oxygen 14
特殊合成樹脂 Lucite International 11


2016/2/9 三菱化学、テレフタル酸で減損損失計上


なお、インド MCC PTA については2015年3月期にも104億円の減損損失を計上している。


田辺三菱製薬の実績は以下の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 4,127 591 619 454 20.0 20.0
2015/3 4,151 671 677 395 20.0 22.0
2016/3 4,317 949 948 564 22.0 24.0
前年比 166 278 271 169 2.0 2.0
2017/3予 4,065 755 770 570 24.0 24.0


ノバルティスへの多発性硬化症治療薬、ヤンセンへの糖尿病治療剤等のロイヤルティー収入の増加のほか、バイオジェンへの自己免疫疾患治療剤のライセンス契約、アムジェンほかへの脂質異常症治療剤の特許・ノウハウ譲渡契約一時金などが大きく寄与した。
また血漿分画製剤の販売提携終了もあり売上原価率が低下した。

2014年下期から連結対象とした大陽日酸の業績は下記の通り。    

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 5,227 315 305 202 6.0 6.0
2015/3 5,594 353 343 208 6.0 7.0
2016/3 6,415 434 432 258 7.0 9.0
前年比 821 81 89 51 1.0 2.0
2017/3予 6,100 520 487 300 9.0 9.0


 

ーーー

2.住友化学 

石油化学部門で、千葉工場の石油化学事業再構築やPetroRabighの定期修繕等の影響により、出荷が減少し、売上高は前年比マイナスとなった。
PetroRabighの定期修繕の影響で持分法損益も前年比でマイナスとなった。

農薬、医薬品、石油化学が好調で、営業損益は過去最高となった。
特別損益は、千葉再構築などの事業構造改善費用が一段落したため赤字が減少し、当期利益は前年を上回った。

三菱ケミカルと同様、大日本住友製薬など高収益企業の少数株主帰属利益分が大きい。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 持分法 経常損益 特別損益 税引後 少数株主 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 22,438 1,008 120 1,111 -249 550 -180 370 6.0 3.0
2015/3 23,767 1,273 239 1,574 -407 711 -189 522 6.0 3.0
2016/3 21,018 1,644 202 1,712 -136 1,124 -309 815 8.0 6.0
前年比 -2,749 371 -37 138 271 413 -120 293 2.0 3.0
2017/3 20,300 1,400 1,500 800 7.0 7.0

 

営業損益対比(億円)           
  2014/3 2015/3 2015/3 2016/3 増減 2017/3予
基礎化学 -109 -4 エネルギー・
機能材料
8 -20 -28 60
石油化学 49 212 石油化学 208 288 80 170
情報電子化学 349 324 情報電子化学 324 247 -77 170
健康・農業関連 382 569 健康・農業関連 561 775 214 650
医薬品 471 290 医薬品 290 427 137 430
その他 84 157 その他 157 78 -79 70
全社 -218 -275 全社 -274 -150 124 -150
合計 1,008 1,273 1,273 1,644 370 1,400

  セグメント変更

旧 基礎化学 旧 石油化学
エネルギー・機能材料 アルミナ製品、アルミニウム、機能性材料、
添加剤、染料等
合成ゴム
石油化学 無機薬品、合繊原料、有機薬品、
メタアクリル等
合成ゴム以外


石油化学:千葉工場の石油化学事業再構築やPetroRabighの定期修繕等の影響により売上減となったが、
        (前期 9,323億円、当期 6,571億円、増減 -2,752億円)
       交易条件の改善や一時的なライセンス収入により、増益

情報電子化学:販売価格下落で減益
健康・農業関連:増収と円安で増益
医薬品:米国の増収と円安による増益が大きい。

特別損益の状況は下記の通りで、事業構造改善費用の減少が大きい。

2014/3 2015/3 2016/3
投資有価証券売却益 34 41 158
固定資産売却益 162
減損損失 -218 -333 -247
事業構造改善費用 -106 -322 -48
投資有価証券評価損 -15
その他 56 45
合計 -249 -407 -136

このうち、 減損損失は以下の通り。

(2015/3 333億円)
英国 EL材料、デバイス 126
新居浜 アルミナ 64
新居浜 医薬品(撤去) 52
韓国 サファイア基板 48
韓国 ダッチセンターパネル 16
(2016/3 247億円)
シンガポール S-SBR 85
ポーランド ディーゼル・パティキュレート・フィルター 82
シンガポール メタアクリル 54


大日本住友製薬の業績は次の通り。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 3,877 421 406 201 9.0 9.0
2015/3 3,714 233 233 154 9.0 9.0
2016/3 4,032 369 352 247 9.0 9.0
前年比 318 137 119 93 - -
2017/3予 4,100 400 400 250 9.0 9.0

日本では、後発医薬品の使用促進による大幅減収で減益
北米では、「ラツーダ」や抗てんかん剤「アプティオム」の売上が拡大、円安の影響もあり、大幅な増収増益

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