主要企業の2016年3月決算 - 三井化学、東ソー、旭化成

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3.三井化学

ナフサ価格低下に伴う販売価格下落などで減収となったが、営業損益は増益となった。

しかし、減損損失により当期損益はほぼ前期並みとなった。

  売上高 営業損益 経常損益 特別損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 15,660 249 225 -331 -251 3.0 0.0
2015/3 15,501 420 444 -86 173 2.0 3.0
2016/3 13,439 709 632 -219 230 4.0 4.0
前年比 -2,062 289 188 -133 57 2.0 1.0
2017/3予 12,500 700 620 360 4.0 5.0



営業損益は下記の通り。

15/3 16/3 増減 内訳 - 16/3 17/3予 増減
数量差 交易条件 固定費他
石化 216 393 177 30 132 15 基盤素材 10 40 30
ウレタン -35 -85 -50 -6 -50 6
基礎化学品 -79 -37 42 -6 30 18 モビリティ 449 390 -59
機能樹脂 187 262 75 6 76 -7
ヘルスケア 91 107 16 21 13 -18 ヘルスケア 116 150 34
フード&パッケージング 91 139 48 21 25 2 フード&パッケージング 203 200 -3
その他 9 -1 -10 -10 その他 -69 -80 -11
全社 -60 -69 -9 -9
合計 420 709 289 66 226 -3 合計 709 700 -9


石化:堅調な国内需要、交易条件(為替の影響を含む)で増益
基礎化学品:これまで進めてきた事業再構築の効果で赤字減少
ウレタン:市況悪化の影響で赤字増
機能樹脂:円安効果と需要拡大への適格な対応で増益
ヘルスケア:固定費増はあったが、増販効果で増益
フード:販売拡大、交易条件改善

来期よりセグメント変更

特別損益は下記の通り。(億円)

2015/3 2016/3 増減
特別利益 資産売却益 23 51 28
事業譲渡益 - 37 37
合計 23 88 65
特別損失 固定資産処分・売却損 45 56 11
減損損失 53 241 188
その他 11 10 -1
合計 109 307 198
特別損益 -86 -219 -133

減損損失には、2013年にドイツのHeraeus Holdingsから有利子負債を含め約543億円で買収した歯科材料事業 Heraeus Dental のノレンの減損195億円を含む。

北米地域での低迷や、急速なデジタル技工市場のトレンド変化のため、当初の利益計画から遅れが出たため。

2013/4/10 三井化学、歯科材料事業を543億円で買収 

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4.東ソー

ナフサ価格等の下落に伴う売価の下落で売上高は減収となったが、販売数量増加や原燃料安等を背景とした交易条件の改善等により営業損益は増益となった。

税引前損益では前期を上回ったが、前期には、日本ポリウレタン工業との合併で、同社から引き継ぐ繰越欠損金等の一時差異に係る繰延税金資産の計上等による税金費用の減少240億円があったため、当期損益ではほぼその分が減益となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 特別損益 税引前 税金 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 7,723 416 495 -20 475 175 296 3.0 3.0
2015/3 8,097 514 602 -12 590 -240
197
623 5.0 5.0
2016/3 7,537 694 658 -39 619 200 397 7.0 7.0
前年比 -559 180 56 -27 29 -243 -226 2.0 2.0
2017/3予 7,200 720 720 470 7.5 7.5

営業損益は下記の通り。

14/3 15/3 16/3 増減

内訳

- 17/3予想
数量差 交易条件 固定費他
石油化学 148 69 116 47 14 7 26 150
クロルアルカリ 39 83 180 97 44 27 26 190
機能商品 192 300 327 27 21 38 -31 319
エンジニアリング 13 33 46 12 12 0 0 37
その他 24 28 26 -3 -3 0 1 24
合計 416 514 694 180 87 72 22 720

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5. 旭化成

ケミカル事業で石油化学製品の市況が下落したことなどから、売上高は前期比マイナスとなったが、住宅事業やクリティカルケア事業が好調に推移したことなどから、営業利益は前期比増益となり、3期連続で過去最高を更新した。

しかし、営業外損益で15/3は為替差益が52億円、持分法投資利益が17億円であったのに対し、16/3は為替差損が37億円、持分法投資損失が9億円と逆転し、経常損益はマイナスとなった。

特別損益の赤字が大きく、当期損益は前年比で減益となった。

問題の杭工事に関しては、現時点では影響額を合理的に見積もることは困難として、施工データの流用等の調査等に要した費用 15億円のみを計上している。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 特別損益 当期損益   配当
中間 期末
2014/3 18,978 1,433 1,429 210 1,013 7.0 10.0
2015/3 19,864 1,579 1,665 -81 1,057 9.0 10.0
2016/3 19,409 1,652 1,614 -150 918 10.0 10.0
前年比 -455 73 -52 -69 -139 1.0 0.0
2017/3予 19,100 1,450 1,430 920 10.0 10.0

営業損益は下記の通り。

14/3 15/3 16/3 増減

内訳

- 16/3 17/3予
数量差 売値差 コスト差
ケミカル 389 542 553 11 -26 -934 971 マテリアル 792 700
繊維 86 105 137 32 13 -10 29
エレクトロニクス 142 143 69 -74 49 -1 -121
住宅 630 592 654 62 19 40 3 住宅 710 650
建材 55 41 58 18 -10 1 26
医薬・医療 303 267 243 -24 -11 -13 ヘルスケア 362 285
クリティカルケア -35 41 119 78 148 -9 -61
その他 17 9 6 -4 9 -13 その他 38 40
全社 -153 -161 -187 -25 -25 全社 -250 -225
合計 1,432 1,579 1,652 73 191 -926 808 合計 1,652 1,450


旭化成は米国Zoll Medical と、AED(自動体外式除細動器)の日本における独占的販売に関する契約を締結し、クリティカルケア(救命救急医療)分野へ事業展開している。


特別損益は下記の通り。

2015/3 2016/3 増減
特別利益 有価証券売却益 28 83 55 政策保有株式の見直しの一環
固定資産売却益 4 9 5
合計 31 92 61
特別損失 投資有価証券評価損 11 4 -7
減損損失 13 35 22
固定資産処分損 47 52 5
事業構造改善費 40 36 -4
訴訟和解金 12 12
杭工事関連損失 15 15

施工データの流用等の調査等に要した費用のみ。
これ以外は現時点では影響額を合理的に見積もることは困難

共同販売契約終了損 53 53 久光製薬との過活動膀胱治療剤の共同販売契約終了
統合関連費用 15 15 組織再編
特別退職金 20 20 Polypore International 買収後、一部幹部が退任
その他 1 -1
合計 112 242 131
特別損益 -81 -150 -69

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