主要企業の2016年3月決算 ー 信越化学

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6. 信越化学

営業損益は2010年3月期から連続増益となった。
しかし、過去最高の2008年3月期の2,871億円には及ばない。

単位:億円 (配当:円)

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益

配当

中間 期末
2014/3 11,658 1,738 1,806 1,136 50 50
2015/3 12,555 1,853 1,980 1,286 50 50
2016/3 12,798 2,085 2,200 1,488 55 55
前年比 243 232 220 202 5 5
2017/3予

未定



営業損益推移 (単位:億円)

  14/3 15/3 16/3 増減
塩ビ・化成品 602 503 447 -56
シリコーン 318 334 415 81
機能性化学品 128 153 182 29
半導体シリコン 245 356 469 113
電子・機能材料 410 462 515 52
その他 37 48 56 8
全社 -0 -3 1 4
合計 1,738 1,853 2,085 232


塩ビについてはShintech が減益となった。(後述)

シリコーン、半導体シリコン、電子・機能材料は好調。


Shintech の業績は下記の通りで、2012年に急回復し、2013年も増益となったが、2014年、2015年と減益となっている。
最近は円安の影響が大きいが、円ベースでも減益である。

決算を公表している米国の企業の業績は下記の通り。

北米需要は業界全体で前年比3%低減し、Westlakeによると平均売価は前年比 18.9%下落した。
そのなかでShintech は世界中の顧客に積極販売を行ったが、過去最高益となった2013年の水準には達しなかった。

元 Georgia Gulf のAxiall Corp.は、ノレン減損 847.8百万ドルを計上したが、これを除いたベースではShintech の損益推移に類似している。

なお、Westlakeは本年に入り、Axiallの買収を提案したが、拒否された。

2016/2/4 Westlake Chemical、Axiall に14億ドルでの買収を提案、拒否される 

その中でWestlakeは増益に転じているが、これには次の要因がある。

1)Westlake Chemical は2014年6月28日、投資会社のAdvent International からドイツを拠点とする塩ビメーカーVinnolit Holdings GmbH とその子会社を490百万ユーロで買収する契約を締結したと発表した。同年7月31日に 取引が完了した。 

ドイツと英国に6つの工場を持ち、能力は苛性ソーダが475千トン(100%)、VCMが665千トン、PVCが780千トンとなっている。2013年の売上高は917百万ユーロであった。

2014/6/3 Westlake Chemical、欧州の塩ビメーカー Vinnolit を買収

2015年はこれがフルに寄与した。

2) Calvert Cityのエチレン原料転換が完成、エチレン増産、Geismarのクロルアルカリ増産

  2012/10/10
Westlake Chemical、エチレン原料をプロパンからエタンに変更

Shintech も2013年に電解、塩ビモノマーおよび塩ビ樹脂の生産能力の増強を決定、2014年4月にはエチレンを生産する工場の建設許可をルイジアナ州の環境庁に申請した。

同社の能力は次のとおりとなる。(万トン)

立地 PVC VCM カ性ソーダ エチレン
Texas州 Freeport  145   -   -
Louisiana州 Addis   58   -   -
Plaquemine   60   160  106
今回増設 32 30 20 50
合計  295  190   126 50
増設完成時期 2015/下 2016/上
& 2017/上
2018/上

これらが完成すれば、Shintechの損益基盤はさらに強化される。

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