石油資源開発、カナダのオイルサンド事業の生産一時休止 

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石油資源開発は5月12日、昨今の著しい油価下落に対応するため、孫会社の Japan Canada Oil Sands Limited(JACOS)によるカナダのアルバータ州Hangingstone 鉱区3.75 セクション地域におけるビチューメン(オイルサンド層から採取される超重質油)の生産操業を一時休止すると発表した。

油価が回復するまで埋蔵量を温存することで、より収益性の高い生産活動を目指す。操業要員は隣接の「拡張開発事業」へ異動する。

付近のFort McMurray地区で5月1 日に発生した山火事による直接の被害はないが、操業要員の移動や販路の確保に制約が生じたため、生産操業を一時的に見合わせて いる。
今回の決定で、山火事の鎮静後も生産操業を一時休止する。

カナダ西部アルバータ州で5月1日に発生した山火事で、Fort McMurray周辺の1.2万ヘクタールを含め、合計10万ヘクタールの森林が焼け、多くの民家が消失した。
山火事に襲われた地域はカナダ有数の原油生産拠点で、オイルサンド関連施設の操業が軒並み停止や縮小に追い込まれ、 オイルサンドからの原油生産は1日当たり100万バレル(カナダの生産量の1/3 余りに相当)が滞っているとされる。

最大の供給先の米国のエネルギー政策にも影響を及ぼしかねない事態となっている。

3.75セクションに隣接する「拡張開発事業」については、日量約20,000 バレル規模のビチューメン生産が可能となる設備の建設工事を進めており、2017年の生産操業開始を目指しているが、これについては、3.75セクションよりも効率的な生産操業が期待できるため、山火事鎮静後に速やかに作業を再開する。

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石油資源開発が現在 94.05% 出資するカナダオイルサンド㈱ は1978年に国と経済界の強力な支援を受け、当時の石油公団と民間各社により設立され 、カナダの子会社 JACOSを通じて、オイルサンド事業に取り組んできた。

JACOSはカナダ・アルバータ州北部のFort McMurray地区の南南西 に権益を有する。
今回休止するHangingstone鉱区 3.75セクション地域では、1 0 0 %権益を保有し、1 9 9 9 年に生産開始した。(2003年から商業生産)

Hangingstone鉱区 3.75 セクション JACOS(オペレーター)100%
Hangingstone鉱区 拡張開発地域 JACOS(オペレーター)75%、Nexen Energy 25%
未開発鉱区
Thornbury、Corner、Chard
JACOS 100%保有鉱区と、 パートナーの Suncor、Nexen Energy、Imperial Oil と共同で保有する鉱区(権益比率は鉱区毎に異なる)が存在

JACOSは、3.75セクションでさまざまな回収法の試行錯誤の末、当時は商業的には実証されていなかった SAGD(Steam Assisted Gravity Drainage) 法を採用した。

これまで日量5千~6 千バレルで生産していた。

拡張開発事業もSAGD法を使用し、初期開発においては日量約2万バレル程度で、 その後、最大日量3万バレル規模に拡張する。

生産されたビチューメンは、コンデンセート等の超軽質油で希釈し、重質油相当の希釈ビチューメンとして、主に米国の製油所に対しパイプラインを通じ販売をする 。
初期開発に係る総投資額は約14億カナダドルを予定している。



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