フランスの油田サービス会社 Technipは、米同業 FMC Technologies, Inc. と株式交換方式で合併すると発表した。
新会社の社名は TechnipFMC で発表前の株式時価ベースで130億ドルとなる。
Technip株主は1株につき新会社の株を2株与えられ、FMCの株主は1株を与えられる。
原油安を背景に石油会社の支出が急減する中、合併により難局を乗り切る狙いがある。
2015年の売上高は合計で200億ドル、EBITDAは24億ドルとなる。合併により2019年に税引前で少なくとも年間4億ドルのコストエナジーを期待している。
新会社はロンドンを本拠地としながらも、ロンドン、パリ、ヒューストンの3都市にそれぞれに本部を置く複雑な構造となる。ロンドンを本拠地とすることについて、税率の低い国に本社を移すtax inversion が目的ではなく、「両社にとり中立的な場所を選んだ結果」としている。
フランス政府はTechnip 株5.2%を保有しており、同社がフランス国内に強いプレゼンスを維持するよう、長期的に株主としてとどまる見通しという。
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原油安を受け、今後の石油開発のピッチが鈍化する可能性が強く、油田サービス会社も合併により重複部門を整理する動きが出ている。
1)Halliburton / Baker Hughes
米資源装置・サービス大手のHalliburton Co は2014年11月17日、同業のBaker Hughes Inc を現金と株式で買収すると発表した。買収総額は346億ドルに上る。
売り上げ規模は単純合計でSchlumbergerを上回り業界トップの専業企業となる見通しだが、独禁法上で問題となる可能性がある。
Halliburton はこれを避けるため、75億ドル相当の事業の売却を行うとしていた。
2015/9/1 油田開発・サービス世界最大手のSchlumberger、Cameron International を買収
しかし、米司法省の反トラスト局は2016年4月6日、米油田サービス会社2位のHalliburton による 同業3位のBaker Hughes 買収は競争を脅かす恐れがあるとして、Halliburtonを提訴した。米司法省は1年半近くにわたって競争上の問題がないかを審査してきたが、買収は石油探査で使用する23種類の製品・サービスにおいて直接的な競争を失う恐れがあると主張した。
Halliburtonが対策として提案している事業売却案は不十分であると看做した。
Halliburton とBaker Hughes は5月1日、合併を取り止めると発表した。米国や欧州の監督当局からの強い反対に直面していた。
Halliburton がBaker Hughes に契約解除金35億ドルを支払う。
2016/4/11 米司法省、油田サービス会社2位のHalliburton による 同業3位のBaker Hughes 買収を認めず
2)Schlumberger / Cameron International
油田サービス業界で2位のHalliburton と3位のBaker Hughes の合併が頓挫した一方で、1位のSchlumberger は掘削機材メーカーのCameron International の買収に成功している。
Schlumberger は2015年8月26日、掘削機材メーカーのCameron International を約127億4000万ドルで買収すると発表した。
Cameron株主は1株につき現金14.44ドルとSchlumbergerの0.716株を受け取り、統合後の会社の約10%を握ることとなる。
こちらについては独禁法上で問題とされず、Schlumbergerは本年4月1日にCameron買収を完了したと発表した。
2015/9/1 油田開発・サービス世界最大手のSchlumberger、Cameron International を買収
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各社の売上高は下記の通り。Technip を除き、2015年は減収となっている。
Technip は報告がユーロ建てのため、ドルに換算
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