BREXIT からBREGRET(Britain Regret) へ

| コメント(0)

離脱派を引っ張ってきた一人の英国独立党のNigel Farage 党首が6月24日のテレビ番組で、英国がEU加盟国として支払っている拠出金の額について間違いを認めた。

投票前、離脱派は拠出金が週3億5千万ポンド(約480億円)に達すると主張、与党・保守党のBoris Johnson 前ロンドン市長らが全国を遊説したバスの側面にも、巨額の拠出金を「国民医療サービスの財源しよう」と書かれていた。

一方で残留派は、EUから英国に分配される補助金などを差し引くと、拠出金は「週1億数千万ポンドだ」と反論 していたが、 Farage 党首は番組で残留派の主張が正しいことを事実上、認めた。

実態は下記の通り。誤認識などではなく、全くの嘘で、国民を騙したことになる。

英国の2015年の拠出金は180億ポンドである。

週当たりでは3.5億ポンドで、離脱派はこれをそのまま、「国民医療サービスの財源にしよう」と訴えた。

実際には、英国に限り、50億ポンドのリベートがすぐに払われる。

サッチャー首相の"I want my money back" という発言に基づき1984年に導入されたもので、サッチャーは、EUから受け取るよりも、多くの資金を拠出することは、「貧しい国」にとって不当であるとした。また、当時、EUの全予算の70%以上は、農業政策分野に当てられていたが、農民の少ないイギリスが受ける恩恵は小さいことが、根拠となった。

従って、実拠出金は130億ポンドで、週当たりでは2.5億ポンドとなる。

さらに、EUの政策に基づき、英国に45億ポンドが支出される。

このため、ネットでは英国のEUに対する支出は85億ポンド(週当たりでは1.6億ポンド)となる。


また、離脱派はEU加盟国からの移民制限を主張していたが、英国が今後 EUと貿易協定を結ぶためには「人の移動の自由」が条件になる可能性があり、離脱派が、「移民がゼロになるわけではなく、少しだけ管理できるようになる」と、「下方修正」した。


このため、「うそを信じてしまった」と離脱に投票したことを後悔する書き込みが増加し、「BREXIT」(Britain Exit )に絡め、BREGRET (Britain Regret) が使われている。

ーーー

格付け大手は6月27日、英国債の格付けを変更した。

S&P   AAA(最上位)から2段階引き下げ、AAに
フィッチ  AA+ (上から2番目)から1段階引き下げ、AAに
Moodys  Aa1 (上から2番目)据置き、但し見通しを「安定的」から「弱含み」に下方修正

付記

S&Pは6月30日、EUの格付けをAA+ からAAに1段階引き下げたと発表した。
英国が国民投票で離脱を決めたことで、EUの財政の柔軟性が低下し、予算の見通しに不透明感が高まったと判断した。

コメントする

月別 アーカイブ