大津地裁、高浜原発の運転停止の仮処分の執行停止の申し立てを却下

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大津地方裁判所は6月17日、福井県の高浜原発 3、4号機について、同地裁が 3月に運転停止を命じた仮処分の決定の効力を停止するよう求める関西電力の執行停止の申し立てを退けた。

関西電力高浜原発3、4号機の稼動の動きは下記の通り。

No.3 No.4
規制委員会 2015/2/12 安全審査合格

停止

停止

福井地裁 2015/4/14 運転差し止めを求めた仮処分申請で、再稼働を認めない決定
 
2015/4/15 高浜原発、再稼働認めず 福井地裁が仮処分決定
福井地裁 2015/5/18 関電申し立ての仮処分の執行停止要請を却下
福井県知事 2015/12/22 再稼働に同意
福井地裁 2015/12/24 仮処分の決定を取り消し
名古屋高裁 2016/1/6 住民側が抗告
関西電力 2016/1/29 3号機再稼動

稼動

2016/2/26 4号機再稼動
2016/2/29  直後にトラブルで停止
大津地裁 2016/3/9 運転の停止を命じる仮処分の決定  停止 停止
大津地裁 2016/6/17 関電の仮処分の決定の効力停止申立てを却下
大津地裁 2016/夏? 関電の決定取り消しの申し立てについての判断 ?

付記

大津地裁(同じ裁判長)は7月12日、関西電力の異議の申し立てを退けた。
「福島の原発事故の原因に関する説明が不足しており、原子力規制委員会の新規制基準の許可を受けたこと自体で、安全性が確保されたとみることはできない」とした。

関西電力は、決定を不服として大阪高等裁判所に抗告する方針。


福井地裁が2015年4月に仮処分申請で再稼動を認めない決定をしたが、2015年12月に同地裁の別の裁判官がこれを取り消した。住民が抗告中。

4月には、関電が想定する基準地震動を超える地震で過酷事故に陥る危険性があるとして、新規制基準を事実上否定し、再稼働差し止めを命じた。
12月には、新規制基準に基づく判断は「不合理な点はなく、高浜原発の安全性に欠ける点はない」と判断。「周辺住民らの人格権を侵害する具体的危険は認められない」と結論付けた。

高浜原発3号機は2016年1月29日に再稼動した。(4号機は2月26日に再稼動したが、直後に停止した。)

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滋賀県内の高浜原発から約30~70キロ圏内に居住する住民29人が、地震災害に伴う重大事故が原発で起きた場合、放射性物質で琵琶湖が汚染されて水が飲めなくなり、生命や健康を脅かされるとして、運転の停止を求める仮処分を申し立てていた

大津地裁は2016年3月9日、「福島の原発事故を踏まえた事故対策や緊急時の対応方法に危惧すべき点があるのに関西電力は十分に説明していない」として稼働中の原発では初めて、運転の停止を命じる仮処分の決定を出した。

2016/3/10 高浜原発3、4号機、運転差し止め仮処分決定

関西電力は決定の取り消しを求めて異議を申し立てるとともに、仮処分の決定の効力を停止するよう申し立てていた。

関電は仮処分決定は「科学的知見をふまえず、主観的な危惧・不安から短絡的に結論づけた」と批判。
差し止めの経済的損失は1日約3億円にのぼり、予定していた電気料金値下げの見送りで市民生活や経済活動に大きな影響が出ていると主張した。

今回の決定は、仮処分の決定の効力停止の申し立てに対するもので、3月と同じ裁判長が、「関電が安全性に欠ける点のないことの立証を尽くさなければ、欠ける点のあることが推認される」と指摘。「福島第1原発事故の原因究明が完遂したと認めることはできず、新規制基準に従って許可を受けたことで安全性が確保されたとはみられない」とも言及した。

関電が決定取り消しを求めて申し立てた保全異議の審理(異議審)が終わるまで、再稼働は不可能になった。

異議審は5月10日の第1回審尋で法廷審理が終わり、6月10日に関電と住民の双方が追加書面を出し主張を終えた。
地裁は今夏にも結論を出すとみられる。今回と同様、山本裁判長が担当しており、決定が取り消されない可能性が高まった。


付記

関西電力はこの決定を受け、停止中の高浜原発3-4号機の核燃料を取り出すと発表した。執行停止の申し立てが地裁に却下されたことで「一定期間、原子炉が動かせないことが確定したため」としている。取り出した燃料は、使用済み燃料プールで保管する。


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