アジアインフラ投資銀行(AIIB)は6月24日の理事会で第1号として4件、総額509百万ドルを決めた。
うち、1件がAIIBの単独で、3件が世界銀行やアジア開発銀行など他の国際金融機関との協調融資。
協調融資で既存の国際金融機関と対立しない姿勢を示すとともに、単独の融資を盛り込んで自前の審査能力もアピールした。
AIIBの開業初年度となる2016年の目標は12億ドル。
融資案件は下記の通り。(単位:百万ドル)
協調融資(融資額) | AIIB 融資額 | |||
バングラデシュの送電線整備 | 単独 | 165 | ①農村部の250万戸(1250万人)に新たに電力を供給する送電線 ②首都ダッカで変電所を改良、電線を地中化 |
|
インドネシアの貧困地区の開発事業 | 世銀 |
主導 |
216.5 | 政府の都市スラムインフラ投資を補助 154都市のスラムに住む 970万人に貢献 |
パキスタンの高速道路の延伸 | ADB | 100 | 100 | National Motorway M-4の残っている区間 Punjab州のShorkot-Khanewal の4レーン、64km |
UK DFID | 34 | |||
タジキスタンの高速道路 | EBRD | 27.5 | 27.5 | Dushanbeからウズベキスタンの国境に延びる高速道路 |
AIIB 合計 | 509 |
注)ADB:アジア開発銀行、UK DFID:英国国際開発省、EBRD:欧州復興開発銀行
アジアインフラ投資銀行(AIIB)の第1回年次総会が6月25日、北京で開かれた。
総会では上記の第1陣の融資が報告された。
金立群総裁は総会で「2017年初めから新メンバーが加わることを楽しみにしている」と述べた。
創設メンバーに続く第2陣の加盟申請は今年9月末に締め切るが、既に24カ国が参加意向を伝えてきているという。具体的な国名は現時点で不明。
AIIBの創設メンバーは57カ国。
2015/12/26 アジアインフラ投資銀行 発足24カ国が追加加盟すれば81カ国となり、アジア開発銀行(ADB)の67カ国・地域を上回る。
なお、鳩山由紀夫元首相が、AIIBの「国際諮問委員会」の委員に就任することが、分かった。金立群総裁が6月25日、確認した。
幅広い分野にわたって第三者の立場で助言する役割を担う。非加盟国を含め、元首や首相の経験者10人程度で構成する見通しで、金総裁が中心となって人選を進めている。
付記
韓国企画財政部は6月28日、AIIBの副総裁の一人でChief Risk Officerの洪起沢(元韓国産業銀行会長)が突如休職に入ったことを明らかにした。
「一身上の都合で半年間の休職をAIIB理事会に口頭報告し、これが受け入れられたと聞いている」としている。
AIIBは既に洪副総裁の後任者探しに着手、韓国以外の国々の候補者を検討しているとされる。
洪副総裁は所在不明で、韓国政府側とも連絡ができていない状態という。
参考
2015/7/2 アジアインフラ投資銀行(AIIB)の概要 2015/12/26 アジアインフラ投資銀行 発足 2016/1/18 アジアインフラ投資銀行の開業式典 2016/2/8 アジアインフラ投資銀行(AIIB)、副総裁人事を発表
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