BP、原油流出事故の損害、累計616億ドル

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BPは7月14日、2010年のメキシコ湾の海洋掘削プラットフォームDeepwater Horizonの原油流出事件の損害賠償の処理が進み、残る債務をほぼ確定できるところまできたと発表した。

2016年第2四半期に事業会社や個人に対する支払として約52億ドルを引き当てる。

この結果、累積の損失は616億ドル、税引き後で440億ドルとなる。

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2015年決算では、累計を555億ドルとしていた。その後、9億ドルの支払があった模様(うち175百万ドルは債権価値下落訴訟の和解)で、今回の52億ドルの引当を加え616億ドルとなる。

本年の支払を全額損害賠償と仮定すると、内訳は下記の通りとなる。(億ドル)
三井石油開発やAnadarko などからの和解金57億ドルを相殺している。

~2015 2016 合計
事故対応費用 143 143
環境費用 86 86
損害賠償 226 61 287
Clear Water Act 罰金 41 41
その他罰金 45 45
運営費 14 14
合計 555 61 616

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支払の主たるものは下記の通り。

1)米国政府等との民事訴訟の和解

内容

金額

Clean Water Act (CWA)による罰金+金利   55億ドル    80%は RESTORE Actに基づき湾岸の復興に使用
天然資源被害(NRD) 81億ドル   うち10億ドルは既に支払約束済みのもの
7億ドル   未知の被害に対するもの
経済的被害、その他被害 6億ドル  
湾岸5州への支払 49億ドル  
地方自治体への支払 10億ドル  
合計 208億ドル  


2015/10/12 BP、
メキシコ湾原油流出事故の民事訴訟で米政府等と和解 


2)米国政府の刑事訴訟の和解  45億ドル

1)刑事訴訟

  11名死亡に関する11の違法行為とClean Water Act、渡り鳥条約、議会妨害に関する違法行為の合計14件 約40億ドル

2)SEC

  罰金525百万ドル

2012/11/17 BP、Deepwater Horizon事故に関する米政府の全ての刑事訴訟で和解 


3)損害賠償

BPは原油流出事故の補償コストをカバーする200億ドルの基金Gulf Coast Claims Facility (GCCF)を創設した。

2012年2月までに個人と企業からの22万件以上のクレームの解決に61億ドルが払われた。

2012年3月3日、New Orleansでの個人や企業を原告とする訴訟の併合審理手続き(Multi-District Litigation)で、原告側の運営委員会との間で和解に達したと発表した。

基金からの賠償額に不満を持つ個人や企業が訴訟を起こしたもので、漁業関係者、清掃業者、ホテル、不動産会社など10万以上に及ぶ。弁護士は340人。

一つは経済的損失で、これにはメキシコ湾の海産物業界への経済的損害(補償額 23億ドル)やメキシコ湾岸の観光促進のための宣伝費支援などが含まれる。

もう一つは医療費で、現実の健康被害の補償や、21年間の健康相談、今後の健康被害への対応など。

BPの推定では和解で払われる総額は約78億ドルで、全額が被害補償のための200億ドルの基金(Gulf Coast Claims Facility)から払われる。

2012/3/5 BP、メキシコ湾岸原油流出事故で漁業関係者などと和解 

2015年に既に226億ドルで200億ドルの基金は使い切っており、合計で287億ドルとなる。


4)パートナーからの戻入(罰金、その他から控除)

三井石油開発はBPに対し、106500万ドルを支払 った。

2011/5/20  BPと三井石油開発、メキシコ湾原油流出事故損失負担で和解 

Anadarko はClean Water Actによる民事訴訟を除く全てについてBPが肩代わりすることで、BPに40億ドルを支払った。

その他、掘削機器の部品を供給したWeatherford U.S.が75百万ドル、Blowout preventerの設計・製造をおこなったCameron International が250百万ドルを払った。

2011/10/19 BP、メキシコ湾原油流出事故でAnadarko Petroleum と和解


損害額合計は、以上の差引合計に、事故処理費用や運営費用を加えたもの。

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