ExxonMobil、パプアニューギニアの天然ガス採掘業者を買収

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ExxonMobilは7月21日、Papua New Guineaで天然ガス掘削事業を展開するInterOil を最大36億ドルで買収すると発表した。原油価格底入れを受け、事業拡大へ同業の買収に踏み切る。

InterOil は1997年に設立された独立系の石油・ガス開発業者で、主にPapua New Guineaで活動する。資産にはアジア最大の未開発ガス田のElk-Antelopeを含む。

ExxonMobilはPapua New GuineaでLNG事業を展開しており、InterOil はアジア最大規模の未開発天然ガス鉱区とされる権益をPapua New Guineaで保有していることから、相乗効果が大きいと判断した。「既に成功を収めているPapua New Guineaのビジネスをさらに強化する」としている。

ExxonMobilはInterOil の株式を自社株を活用して買い取る。

1株当たり45ドルに加え、InterOilがPapua New Guineaに保有するガス田の資源量に基づくContingent Resource Payment (CRP) を加える。
この結果、買収金額は25億~36億ドルの範囲になる。

資源量 6.2 tcfe 7.0 tcfe 8.0 tcfe 9.0 tcfe 10.0 tcfe
CRP $5.66 $12.73 $19.80 $26.87
買収価格 $45.00 $50.66 $57.73 $64.80 $71.87
Premium 42% 60% 82% 105% 127%


InterOil は既に合意が成立していたOil SearchとTotalへの22億ドルでの 売却(下記)を撤回する。合意破棄で発生した違約金についてはExxonMobil が肩代わりする 。

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Elkガス田は2006年、Antelopeガス田は2008年に発見された。

これらを含むPRL 15 (Petroleum Retention License 15) の権益は当初、InterOilが75.6%、Pacific LNG Groupが22.8%、IPI Holdersが1.6%を保有していた。

2014年にPapua New Guinea の石油・天然ガス開発企業 のOil Search がPacific LNG Groupの22.8%を買収、InterOilは持株のうちの40.1%をTotal に売却した。

2015年にTotal をPRL 15 Operatorとすることを決め、Papua LNG (年産690万トン)の建設を決めた。

Papua LNG計画は、Elk-Antelope ガス田のガスを 340kmのパイプライン(うち陸上75km) でPort Moresby近郊に運び、液化する 計画で、2020年代初めに稼動の予定。

InterOil、Oil Search、Total は2016年5月20日、2つの契約を締結した。

  1) Oil Search はInterOil を22億ドルで買収する。

 2) Oil Search は、InterOil から取得したPRL 15 の権益の60%と、PRL 15以外の権益と資産の62%をTotal に譲渡する。
   (取引価額は上記と同じレベル)

 Oil Search と Total はPapua LNG計画を推進する ことで合意した。ExxonMobil 主導のPNG LNGとの協力又は統合の検討も行う。

今回、ExxonMobil が InterOil を買収することとなり、PRL 15 の権益比率は下記の通りとなる。

取引前 5/20 取引 今回
政府権益込み 政府権益込み
InterOil 36.5
ExxonMobil 36.5 28.3
Oil Search 22.8 37.4 29.0 22.8 17.7
Total 40.2 62.1 48.1 40.2 31.1
IPI Holders 0.5 0.5 0.4 0.5 0.4
政府 20.5 20.5
地主 2.0 2.0
合計 100 100 100 100 100

PNG LNGを主導し、OperatorであるExxonMobilがPRL 15に加わることで、Papua LNG計画はPNG LNGとの統合の方向に向かうとみられる。

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Papua New GuineaではExxonMobil 主導のPNG LNG (年産690万トン)が既に稼動している。(LNG液化設備はいずれもPort Moresby近郊


ExxonMobil が主導のPNG LNGは、
パプアニューギニア内陸部のガス田(Hides、Juha、Angore)および油田随伴ガス(Kutubu、Moran、Gobe)から生産されるガスを首都Port Moresby近郊のLNG液化施設までパイプラインで輸送して液化し、輸出するもの。
2014年4月に LNGの生産を開始した。販売契約のうち約50%が日本向けになっている。

PNG LNG の参加者は以下の通り。

権益比率
ExxonMobil  33.2% オペレーター
Oil Search  29.0% PRL 15、Papua LNGにも参画
Santos  13.5% 豪州大手石油会社
Nippon Papua New Guinea LNG
(JX 98.4%、丸紅)
  4.7%
政府  16.8%
Mineral Resources Development   2.8% パプアニューギニア政府系企業

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なお、双日は2015年10月14日、パプアニューギニアの国営石油公社 National Petroleum Company Papua New Guinea (NPCP) との間で、同国において産出される天然ガスを利用したメタノール製造事業の開発のための合弁契約書に調印した。

2015年10月21日 双日、パプアニューギニアの国営石油公社との間でメタノール事業開発のための合弁契約書に調印 

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