LG Chem、NASAに宇宙服用電池を供給

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LG Chemは7月17日、NASA の宇宙服用のリチウムイオン二次電池の供給メーカーに選定されたと発表した。
電池は新規に開発された製品で、今年下半期から納入する。


宇宙服に電源を供給する用途として使われる。宇宙服には宇宙飛行士の命を保つために酸素供給装備や通信装備、放射能測定器など、多様な機能が搭載されており、「LG Chemのバッテリーが、このような最先端装備の心臓のような役割を果たすことになるだろう」としている。


NASAはこれまで、宇宙探査用宇宙服に日本企業が供給する銀亜鉛バッテリーを搭載してきた
が、緊急時も含め必要に応じ船外活動時間を延長する必要があることを考慮し、より軽量かつ容量の大きな電力が必要とし、リチウムイオンバッテリーに交替することを検討してきた。

銀亜鉛バッテリーは26.6A/H、重量4.3kgで、6~8時間程度の船外活動が可能な容量となっている。
これに対し、リチウムイオンバッテリーは寿命は約5倍長く、価格は低い。

NASAは宇宙飛行状況でバッテリーの熱による爆発が起きる場合には深刻な事故につながりかねないという点を考慮し、厳格なバッテリー安全性テストを進めた。
宇宙という極限の環境が対象であるだけに、なんらかの原因による内容物が漏れることによる装着者及び宇宙服へ影響を及ぼさないようにする必要もある。

NASAは主要バッテリーメーカーらのサンプルを対象に、独自に開発した安全性能診断装置(Internal Short-Circuit Stability Test Device)を通じてバッテリー安全性テストを行った。

LG ChemはNASAが要求する厳格な条件のバッテリー性能の実現のため、独自に開発したSRS®(安全性強化分離膜)技術などを適用、日本や韓国の競合会社を押さえて1位を占め、バッテリー供給企業に選ばれた。

SRS® ( Safety Reinforced Separator) はセパレータの基材をセラミックでコーティングすることにより、セパレータの耐温度性能や機械強度を強化するもので、リチウムイオン電池内部でのショート発生のリスクを大きく低減することができる。

LG Chemは「LG Chemのバッテリー技術力を世界市場で改めて立証した。NASAとパートナーシップを強化して多様な航空・宇宙機器にバッテリーを適用する」としている。

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今回の契約締結により LG Chemは陸・海・空に続き宇宙市場にまで事業範囲を広げた。

 陸:

LG Chemは現代・起亜自動車をはじめ、GMFordRenaultVolvo、Audi上海汽車長城汽車第一汽車奇瑞汽車など電気自動車メーカー20社ほどを顧客に確保している。

 海:

2015年6月にはノルウェーの造船会社 Eidesvik が開発した世界初のハイブリッド船 Viking Queen にリチウムイオンバッテリーを供給した。
6000トン級の大型船舶で、普段はLNGで運航し、低速運航と港内待機時にバッテリーを動力とする。バッテリーは650kWh。

 空:

最近では主要なドローンメーカーにもバッテリーを供給している。




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