アンモニアから燃料電池自動車用水素燃料を製造

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広島大学、昭和電工、産業技術総合研究所、豊田自動織機、大陽日酸は7月19日、共同研究により、アンモニアから燃料電池自動車用高純度水素を製造する技術の開発に成功したと発表した。

本研究開発は平成26年度からスタートした内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「エネルギーキャリア」の一課題として実施されている。

アンモニアは多くの水素を含んでおり、エネルギーキャリアとして期待されているが、アンモニア水素ステーション実現のためにブレイクスルーしなければならない大きな技術障壁としては次の3点がある。

今回、下記の成果を得て、世界で初めてアンモニア由来水素から燃料電池自動車用水素燃料の国際規格をクリアする水素が製造出来る事を明らかにした。

分解装置 産業技術総合研究所 高性能ルテニウム系触媒
(Ru/MgO)を開発
残存アンモニア濃度1,000ppm以下
(ルテニウム系触媒 約70,000ppm)           
昭和電工/
豊田自動織機
アンモニア分解装置
(実証システムの1/10スケール)
NH3濃度1,000ppm以下の分解ガス(水素75%、窒素25%)生成
除去装置 広島大学 無機系除去材料 従来の硫酸水素アンモニウムに比べ除去量を3倍に増加でき、加熱再生も可能に。
昭和電工 アンモニア除去装置
(実証システムの1/10スケール)
上記分解ガスを供給、アンモニア残存濃度を国際規格である0.1ppm以下まで低減
実用可能レベルにあることを確認
精製装置 大陽日酸 水素精製装置を開発 窒素を1ppm以下まで、その他不純物もppmからppbのオーダーまで同時に一段で除去する技術を確立


今回開発した、アンモニア分解装置、アンモニア除去装置と水素精製装置を組み合わせることで、燃料電池自動車用水素燃料製造が可能となる。

現在、チームでは、昭和電工㈱川崎事業所において10Nm3/hスケールのシステム実証を行うべく、プロセス検討を行っている。

燃料電池自動車用水素ステーションの実現が期待されるとしている。


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なお、同じ戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「エネルギーキャリア」の一課題として、2015年7月に、京都大学、ノリタケカンパニー、三井化学、トクヤマが、アンモニアを燃料とした燃料電池による発電に成功している。

アンモニアを直接燃料とした固体酸化物形燃料電池(SOFC)で、世界最高レベル(200Wクラス)の発電に成功したもの。

電解質であるジルコニアの片面に取り付けた燃料極に発電の燃料となるアンモニアガスを直接供給し、反対側の空気極に空気を供給することによって、両極の間で電力を発生させる原理に基づいている。

① 燃料極に送り込まれたアンモニア分子は、水素分子と窒素分子に分かれる。
② 窒素分子は空気中に放出され、水素分子は電解質を移動してきた酸素イオンと結び付いて水になる。そのとき、電子を放出する。
③ 電子は回路を経由して空気極に移動する(回路に電流が流れる)。
④ 空気極に移動した電子は、空気極に供給された酸素と結び付き、酸素イオンを作る。酸素イオンは、電解質を通って燃料極に移動する。

アンモニア燃料に適用するための各種部材を選定し、アンモニア燃料専用の新規SOFC スタックを開発した。
アンモニア燃料は、部材の接合部からリークすると、配管部が腐食したりするという課題があるが、アンモニア燃料をリークなく封止できる特殊なガラスを開発した。

本スタックに、直接アンモニア燃料を供給して発電を行ったところ、純水素と比較して、同等レベルの良好な発電特性が確認された。
また、燃料電池の直流発電効率は255Wにおいて53%(LHV)が達成された。



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