Saudi Aramcoがタイ国営のPTTとのベトナムでの石油精製・石油化学計画(Victory Project)から撤退することが分かった。
PTTによると、Saudi Aramco は7月1日付けで撤退を決めたという。「PTTとSaudi Aramco は本計画のパートナーとなる然るべきベトナム企業を探してきたが、今のところ見つかっていない」というのが撤退の理由とされる。
Saudi Aramcoはコメントしていない。
一方、PTT はベトナムは依然として投資すべき戦略的立地とみており、この計画を38.5%出資する子会社のIRPC(旧称TPI)に移管して継続する。
PTTでは、株主として本計画に関するIRPCの決定(計画のサイズ、投資範囲、パートナーなど)をサポートするとしている。
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ベトナム政府は2007年9月に製油所の建設計画を明らかにした。9つの製油所を建設し、2025 年までに国内需要の90%を自国内の製油所でカバーするとし、原油処理能力の目標値を日量 111~121万バレルとした。(能力は当初の計画で、具体化時点で変更される)
今回の計画は地図の④
タイのPTTは2012年末に、ベトナム南中部のBinh Dinh省のNhon Hoi 経済特区に、日量66万バレルという世界最大級の製油所を建設することを計画していると報じられた。
石油化学コンプレックスの建設も計画に含まれている。
その後、他の製油所計画が進捗しているため、同社は精製能力を40万バレルに落とし、詳細を詰めていた。
2014年にサウジのSaudi Aramco が参加を決め、両社で詳細FSを提出した。
計画 石油精製・石油化学計画 (その後、Victory Project と名付ける)
・石油精製 日量 40万バレル(当初計画は66万バレル)
・石油精製製品 日量26万バレル(年産1200万トン)
・オレフィン系 合計年産300万トン
・芳香族系 合計年産200万トン立地 Binh Dinh省 Nhon Hoi Economic Zone 投資額 220億ドル(PTTの当初見積287億ドル) 出資者
PTT 40% PTT子会社 Thai Oil と IRPC も参加 Saudi Aramco 40% ベトナム政府 20% 完成予定 2021年 原油 主にSaudi Aramcoが供給
2014/9/19 タイPTTのベトナム石油精製・石油化学計画にSaudi Aramco が参加
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IRPC は旧称TPI(Thai Petrochemical Industry)で、PTT が38.51%出資、他にGovernment Savings Bank が9.54% など。
TPI は 元々 Prachai Leopairatana の経営であったが、1997年に石油化学事業への巨額投資や事業多角化のための借入金が経営を圧迫し、運転資金もショートしてが経営危機に陥った。
その後、いろいろの再建計画が立てられたが、Prachai が居座りを続け、迷走した。
2005年にはタイ証券取引所が、政府主導の再建案に抵抗を続ける同社創業者のPrachai を告発し、管財人に対しPrachai 解任を指示した。
2006年5月になり、同社取締役会はようやくPrachai を解任した。
石油精製能力は215千バレルでタイで第三位(1~3位は全てPTTグループ)
精製能力
(千bpd)PTT出資 PTT Aromatics Refinery 280
48.89% Aromatics Thailand (ATC) と Rayon Refinery(RRC)が統合 Thai Oil 275 49.10% IRPC 215 38.51% 旧称 TPI ESSO Thailand 177 Star Refinery 150 36%→0 Chevron 64%→55% Bangchak Petroleum 120 27.22%→0
2015/7/23 タイ石油公社PTT、石油精製事業を再編
石油化学は下記の通り。
千トン エチレン 360 プロピレン 720 HDPE 140 PP 475 SM 260 ブタジエン 50
タイの石油化学の状況は 2006/6/8 タイの石油化学の現状 2016/5現在の能力を付記
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