韓国の検察は6月10日、ロッテグループの幹部が帳簿外の裏金づくりを行った疑いがあるとして、大々的な家宅捜索を行った。
ソウル中央地検が、ソウル市内のロッテグループ本社にある辛東彬(重光昭夫)会長の執務室と自宅、グループ会社など計17カ所を家宅捜索した。グループ創業者、辛格浩(重光武雄)氏の執務室なども捜索した。
2016/6/15 韓国検察、ロッテグループを家宅捜索
韓国ロッテグループを捜査しているソウル中央地方検察庁は 、グループ幹部で、辛東彬(重光昭夫)会長の側近の李仁源・副会長兼政策本部長と黄珏圭・ロッテショッピング政策本部運営室長の取調べを決めた。
両氏はグループ全体を統括する司令塔役で、系列社との間で行ったとみられる秘密資金作りに関与している可能性があり、横領や背任の容疑で調べるという。
地検は8月25日に黄珏圭・ロッテショッピング政策本部運営室長を取り調べた。
黄氏は記者団に対し、辛会長が秘密資金作りを指示した事実について否定した。
地検は李仁源・副会長兼政策本部長に26日の出頭を求めたが、同日の朝、自殺しているのが発見された。
遺書では、グループ内の裏金の存在を否定するとともに、会長を「立派な人」としていた。
副会長は、経営者一族やグループ全般に関することはもちろん、系列会社の経営まで総括する役割を担っていた。
検察は 今後、創業者の辛格浩(重光武雄)氏や次男で同グループ会長の辛東彬(重光昭夫)氏 などからの聴取も考えていたが、この件で「今後の捜査を再検討する」。
付記
韓国検察は9月1日、前副会長の辛東主(重光宏之) 氏を事情聴取した。2006年から2015年まで、勤務実体がないのにロッテ建設やホテルロッテなど7~8社の取締役を務め、400億ウォン(約36億円)の報酬を受けた横領疑惑。
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地検は創業者の辛格浩氏の脱税疑惑も調べている。
同氏が、日本のロッテホールディングスの持ち株を事実婚の関係にある女性と娘に譲渡した際、約 6千億ウォン(約550億円)の贈与税を脱税した疑惑が浮上した。
中央日報によると2005年に、米国や香港、シンガポールなどに設立したペーパーカンパニーを通じ、女性らに株式を譲渡したとみられる。
韓国検察がロッテグループの巨額の裏金疑惑を捜査する過程で新たに脱税疑惑が浮上したもので、検察は女性らを任意で呼び、事実関係を調べる見通し。
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韓国公正取引委員会はロッテグループの創業者の辛格浩氏に対し、日本の関連企業の株式持ち分を虚偽申告した可能性があるとして、公正取引法違反で検察に告発する方針を固めた。
公取委は、韓国ロッテグループの系列企業11社に対して追徴金5億7千万ウォン(約5千万円)を課す方針も固めたという。
ロッテ側は、日本の系列企業の状況を十分把握できなかったためで故意ではない、と釈明している。
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既報のとおり、ソウル中央地検は7月7日、辛格浩(重光武雄)氏の長女・辛英子容疑者を背任収財や横領の疑いで逮捕した。
韓国の化粧品会社などからロッテ免税店への出店を認めるよう頼まれ、リベートとして計30億ウォン(約2億6400万円)を受け取ったほか、辛容疑者が実質的に運営する企業から40億ウォン(約3億5200万円)を横領した疑い。
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