天津市の工業地帯で2015年8月12日夜、大規模な爆発が発生した。
爆発は、天津東疆保税港区の瑞海公司(RuiHai International Logistics) の危険物倉庫で起こった。
コンテナーヤードには7類の危険品(第一類の火薬と第七類の放射性物質を除く)合計111種 11,384トン、うち硝酸アンモニウム 800トン、シアン化ナトリウム 681トン、ニトロセルロース類229トンを保管していた。
うち運抵庫(受入倉庫)には72種類、合計4,840トンを保管、うち硝酸アンモニウム800トン、シアン化ナトリウム 360トン、ニトロセルロース類48トンを保管していた。
シアン化ナトリウム681トンは、施設の設計上の保管量を40倍以上も上回る。
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事故の発生から1ヶ月も経たない9月初めに、天津市は浜海新区の爆発現場を「海港生態公園(海港エコ公園)」として整備する計画を明らかにした。
公園は24ヘクタールで「エコ、活気、暮らし、記念」を理念とし、事故前に着工していた小学校や幼稚園も敷地内に建てる。11月に着工し、2016年7月の完成を目指すという。
全体は43ヘクタールで、公園部分(下図の赤線内)は約24ヘクタール。公園の池は丁度、爆発の穴の場所。
南側には小学校、幼稚園などが、西側にはグリーンベルトがつくられる。
大惨事の原因究明も済んでいない中での発表に、事故車両を埋めようとした温州の高速鉄道と同じだと、批判が相次いだ。
2015/9/7 天津の爆発事故現場、早くも公園化計画 批判相次ぐ
天津市は当初、2016年7月の完成としていたが、実際にはほとんど進んでいない。
1年前 (上の写真の逆の北側から見たもの) | 現状 |
現在は爆発によりできた直径約100メートルの穴を重機によって埋める作業が昼夜を問わず続いている。
建設業者によると、爆発による汚染状況は想像していたより遥かに深刻で、1~2年での完成は難しいという。
更に当局は、商業秘密を含むとして汚染データを公開していないという。
地元政府は8月10日、現場周辺の復旧状況を公表し、周辺の大気や水質については問題ないとした。
しかし、爆心地から数百メートルと最も近い距離にあるマンション群「海港城」では、割れた窓や外壁はほぼ完全に改修され、表面上は新築物件のようだが、住み人はほとんどいないという。
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