三井住友銀行は8月2日、秋田県の有力農業法人やNECグループなどと共同でコメ生産を手がける新会社「みらい共創ファーム秋田」を設立したと発表した。
高齢化で農作業が難しくなった農家から作業を請け負ったり、農家から土地を借りたりしてコメをつくる。
大規模営農化に伴うコスト削減、海外を含む新たな販路開拓等を通じた効率的で収益性の高い農業経営モデルの構築を目指すことで、農業の成長産業化や地方創生の実現といった我が国の課題解決に貢献していくとしている。
新会社の概要は次のとおりで、2016年4月1日施行の農地法改正を受けたもの。
社名 ㈱ みらい共創ファーム秋田 所在地 秋田県大潟村 出資金 165百万円 議決権
大潟村あきたこまち生産者協会 50.1% NECキャピタルソリューション 30.0% 秋田銀行 5.0% 三井住友ファイナンス&リース 9.9% 三井住友銀行 5.0% 合計 100.0% 事業内容 農産物の生産および農作業の受託業務
農産物の販売業務
その他これに付随する業務
三井住友銀行は秋田銀行と同じく銀行法で5%しか出資できないが、事業全体を主導する。
今秋から人手が足りない農家から刈り取りや精米を請け負い、来年からは田んぼを借りて本格的な米の生産に乗り出す。
秋田での事業が軌道に乗れば、米づくりが盛んな他県にも広げていく。
三井住友銀行は農業を「成長分野」と位置づけており、自ら農業に参入して、貸し出しの増加などにつなげる狙いがある。
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農業協同組合法等の一部を改正する等の法律が2015年9月4日に公布され、2016年4月1日に施行された。
6次産業化等を通じた経営発展を促進するため、農地を所有できる法人の要件(議決権要件、役員の農作業従事要件)が見直された。
農業の6次産業化を進めようとすると、資本増強が必要となるが、改正前では議決権は農業関係者と関連事業者に限定されるため、外部資本の導入が出来ない。
改正前 改正後 呼称 「農業生産法人」 「農地所有適格法人」 事業要件 売上高の過半が農業(販売・加工等含む) 同左 農業関係者の議決権 4分の3以上 2分の1超 農業関係者以外の者の 議決権 4分の1以下 2分の1未満 要件 関連事業者(法人と継続的取引関係を有する者)に限定 左を撤廃
(関連事業者以外も可能)役員要件 役員の過半が農業(販売・加工含む)の常時従事者 同左 さらにその過半が農作業に従事 役員又は重要な使用人のうち、1人以上が農作業に従事
また、6次産業化を進めると、販売・加工のウエイトが高まるが、改正前ではそれに従事する役員が限定されてしまう。
この結果、これまでは出資できなかった (農業法人と継続的取引関係のない) 銀行などの出資が可能となり、また多額の外部資本の導入が可能となった。
今後農地の集約化や大型化が進むとみられる。
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