8月26日にJanet Yellen FRB議長がJackson Hole Economic Policy Symposium での講演で、「米雇用が改善し、追加利上げの条件は整ってきた」と述べたことで米国の利上げ観測が強まった。
年内のあと3回(9/20-21、11/1-2、12/13-14)の連邦公開市場委員会で決まると予想される。先ず9月2日発表の雇用統計が注目される。
米国の金融政策は、年に8回開催される 連邦公開市場委員会(FOBC:Federal Open Market Committee)で決定される。
メンバーは連邦準備制度理事会(FRB) の議長ら理事7名と、ニューヨーク連銀総裁、及び残り11の連銀総裁から輪番で4総裁の合計12名で構成される。
FOMCは米国の景気が冷え込んでいる時には金利を引き下げて需要を喚起し、逆に景気が過熱気味になってくると金利を引き上げて景気が過熱することを防ぐ。
金融危機に対応するため、2008年11月~2010年6月に量的緩和策 QE1(Quantiative Easing Program-1 )を実施し、1兆7250億ドルが供給された。
米国の景気回復ペースの鈍化を受けて、2010年11月~2011年6月に実施されたQE2では6000億ドルが供給された。
更に、労働市場を刺激して景気を回復させるため、2012年9月にQE3 を開始し、以降、毎月850億ドルの債券買い入れを行ってきた。
2013年6月に当時のバーナンキFRB議長が、経済指標次第だが「年内に証券購入ペースを緩めるのが適切」と述べた。
2014年1月には、債券買い入れ規模を減らし、量的緩和(QE3)の縮小を継続する方針 を決めた。
2014/2/4 米国の量的緩和縮小とその影響
その後、毎月の債券買い入れを月850億ドルから順次減少させ、2014年11月には買い入れをゼロとした。
そして、2015年12月16日に、米経済は2007-09年の金融危機による打撃を概ね克服したとの認識 に立ち、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を 0%~0.25% から0.25%~0.50% に引き上げ、2016年中に4回の利上げを予想した。
2015/12/17 米国、利上げ
今後の利上げの条件としては、「雇用情勢」と「物価」を挙げた。
このうち、「雇用」については、「失業率が5%まで下がり、完全雇用に近づいている」 とし、条件を満たしているとみなした。
しかし、「物価」は目標の2%に届いておらず、「原油の一段安で物価の下押し圧力が想定よりも長く続く」と懸念 し、「物価を注視して緩和的な環境を保つのが妥当で、追加利上げは段階的に」とした。
当初、2016年に4回の利上げを想定したが、5回開催された連邦公開市場委員会ではいずれも見送られた。
2016/1/27 | 見送り
・ 世界的な株安や原油安に懸念 |
2016/3/16 | 見送り
・ 海外経済と金融市場には引き続きリスクあり。 |
2016/4/27 | 見送り
・ 海外経済や金融市場のリスクは後退したが、「米経済は減速した」 |
2016/6/15 | 見送り
・ 「経済活動は上向いたが、雇用改善は減速した」 |
2016/7/27 | 見送り
・ Brexit による市場混乱は一服、「短期的なリスクは弱まってきた」 |
2016/8/26 | イエレン議長のJackson Hole Economic Policy Symposium 講演
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付記 9月2日発表の8月分雇用統計では、非農業部門雇用者数増は15.1万人で予想を下回った。
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