S&Pは8月8日、韓国の国債格付けを「AAマイナス」 から「AA」に1段階引き上げた。同国として過去最高水準である。
S&P は2015年9月15日に「Aプラス」から「AAマイナス」に1段階格上げしており、2年連続の引き上げとなった。
引き上げの理由について、順調な経済成長、対外健全性改善持続、十分な財政・通貨政策余力を挙げた。
韓国はこの数年間、先進国経済より堅調な成長を見せ、昨年は対外純債権に転換するなど対外部門の指標が改善したためと説明した。
「韓国の今年のGDP成長率は2.6%と予想されるが、これは主要先進国の0.3~1.5%より高い」としている。
また、見通しを「安定的」とした。北朝鮮をめぐる地政学的リスクが大きく高まることはないと判断したためとしている。
但し、北朝鮮との緊張が高まれば格付け引き下げの要因になり得ると説明している。
中国(AA-)より1段階、日本(A+)より 2段階高い。
Moody'sは2015年12月19日、韓国の格付けを従来の「Aa3」から、今回のS&Pと同水準となる「Aa2」に引き上げている。
しかし、朝鮮日報社説は、「暮らし向きは悪化しているのに格付けだけ上昇する韓国経済」というタイトルで、次のように述べている。
2-3%という成長率は財政支出によって引き上げたものであり、対外債務の健全性や財政・通貨政策の余力は現在のような輸出不信と福祉費用急増による財政悪化を放置すれば決して長続きしない。
今の韓国経済はますます停滞の泥沼で苦しんでいる。政府が格付け上昇を自慢するほど余裕はない。
構造改革や輸出多角化など経済の体質改善がなければ、過去最高の格付けも水の泡にすぎない。
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日本の場合は、S&P は2015年9月16日に「AAマイナス」から「Aプラス」へと1段階引き下げた。
Moody'sは2014年12月1日に「A1」に、Fitchは2015年4月27日に「A」に、それぞれ1段階引き下げている。
2015/9/19 S&P、日本国債を格下げ、韓国国債は格上げ
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なお、6月23日の英国の国民投票でEU離脱の結果となったのを受け、6月27日に S&Pは「AAA」から「AA」に2段階、Fitchは「AA+」から「AA」へ1段階引き下げた。
また格付会社は本年に入り、原油価格の下落を受けて産油国の国債の格付けを引き下げた。
サウジについては、S&Pは2月17日に2段階、Moody'sは5月14日に1段階、Fitchは4月12日に1段階、それぞれ引き下げた。
主要国の格付けは下記の通り。 (青字は最近の格上げ、赤字は格下げ)
S&P | Moody's- | Fitch | |||||||||||||||
AAA |
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Aaa |
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AAA |
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AA+ |
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Aa1 |
|
AA+ |
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AA |
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Aa2 | 韓国(←Aa3 2015/12/18) | AA |
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AA- |
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Aa3 |
|
AA- |
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A+ |
|
A1 |
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A+ |
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A | A2 | A | 日本(←A+ 2015/4/27) | ||||||||||||||
A- | サウジ(←A+ 2016/2/17) |
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